むくみ・浮腫は腎臓だけでない

いよいよゴールデンウィークに突入ですね。全国的に天候もよさそうだし観光地など混雑しそうです。私は連休中はいつものように田植があり、渋滞とは無関係の生活です。ゴールデンウィークの最中、一度くらい休みたいなぁと思ったこともありますが、諦めています。ただ、アウトドアでは小さな油断が大きな事故の原因になったりしますので注意して行動してください。

さて、「むくみ・浮腫」があれば真っ先に思い浮かべる臓器は腎臓であろうと思います。確かに直接的に尿として水分を排出するわけですから腎臓の働きが重要なことに変わりはないのですが・・・。以前、紹介で来た60代の女性は、右腕だけがむくんでいました。水分の循環は、血液やリンパ液として血管・リンパ管を流れています。身体の一部分の時は全身のむくみと違い、血管やリンパ管のどこかが圧迫や閉塞により流れない状況で発生します。したがってこの方のケースでは、漢方薬を求めてきたのですが、何もせずに病院へ紹介しました。あの時、私の頭に浮かんだのは肺ガンです。静脈血栓なども考えられますが、どちらにしても薬局で無駄な時間を費やすことはできないと判断しました。

また、例えば乳がんの手術などでリンパ節を切除したケースでも腕のむくみが現れるケースがあります。この場合には、リンパマッサージにより改善が期待できますので、基本的に漢方薬の出番はほとんどありません(補助的に使うことはあるかもしれませんが)。漢方には水毒・水滞という考え方があり、このようなリンパ液の停滞も水毒・水滞の一部とされます。日本は島国であり、ましてや新潟県は湿度が高いので、むくみや浮腫(水毒・水滞)が起こりやすいので注意が必要です。

一方、あまり気にしなくて良い浮腫みは、女性に多いのですが夕方になると足だけがむくんでくる場合でしょうか。これも程度問題で、片側のむくみが強い時や以前よりもむくみが悪化した場合などは何かのサインと考える必要があるでしょう。足の静脈には逆流防止用の弁がありませんから、重力の関係で心臓に戻りきれない血液から血漿成分が漏れ出たり、リンパ液が流れにくくなるので、むくみとして自覚するようになりますが、横になって休んだり入浴してマッサージしたり一晩寝て起きれば、解消しているから大丈夫なのです。改善策は、とにかく足を動かすことです。足を動かすことで第2の心臓と言われる筋肉ポンプを働かせて血液やリンパ液の流れを改善すればよいのです。

ゴールデンウィークでの移動が長時間になると、エコノミークラス症候群とも言われる深部静脈血栓症が起こりやすくなります。血管の中でよどんだ血液が血栓と言う塊を作り、その血栓が肺などの血管を詰まらせることがあり、場合により死に至ります。ですから移動が長時間になる人は概ね2時間くらいの間隔で身体(特に脚)を動かすようにしてもらいたいものです。特に自動車で高速道路を移動する場合は、渋滞に巻き込まれるとトイレが心配で水分摂取が控え目になることから注意が必要ですね。血流を改善する漢方薬でも事前に飲んで出発されることをお勧めします。

一晩寝ても解消しなかったり、起きた時に顔や手にむくみを感じる場合は、心臓など循環系にも問題があるのかもしれません。腎臓から水分を出すにしても、その腎臓に水分の基となる血液を送るのは心臓の働きですから、重力の影響のない睡眠中に解消できないような浮腫みが出ることは何かのサインととらえるべきです。過度に疲れていたり、寝不足やアルコールの飲み過ぎなど、原因が特定できたり一過性の場合は心配いりませんが、軽度であっても毎日続くようなら専門家に相談してみてください。

浮腫みとは関係ありませんが、夜間のトイレが頻繁で相談を受けたことがあります。高齢の男性でしたが、どうも塩分の取り過ぎが原因のようでしたので、この場合も薬を渡さずに食事改善のアドバイスで終わりました。私のところでは1〜2割の方が、薬なしで帰ります。必要性があれば渡すのですが、漢方薬であっても飲まないに越したことはありませんのでね。最低限必要と判断した薬だけを渡すように心がけています。

最後に、慢性腎臓病(CKD)や腎不全やネフローゼなど腎臓に問題がある浮腫みの場合は、腎臓に負担をかけずに腎臓以外から水分を出す方法を漢方では取ることがあります。脱水などには注意する必要がありますが、透析などの技術があるとはいえ腎臓を如何に長持ちさせるかの視点で漢方薬の選択を慎重に行います。いわゆる体質により使用する漢方薬は異なりますので、必ず漢方に詳しい専門家に相談して飲むようにしてください。


漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局
http://www3.ocn.ne.jp/~hirohasi/

過去のブログの主なものはホームページにリンクを貼ってありますから、見たい記事がありましたら《ひろはし薬局のホームページ→過去のブロ
グ》から探してみてください。(現在の更新はしてませんが・・・)
  あるいは⇒http://www3.ocn.ne.jp/~hirohasi/sub6.htm

メールは《Re:タイトル》でお願いします。メールマガジンの申込も随時受付中
     ⇒8hirohashi@gmail.com

薬事法の関係で、具体的な薬品名は表示を控えています。お知りになりたい場合は、直接ご連絡ください。

講演の依頼に関しては、ホームページに掲載してある講演内容を参考にして、お申込下さい