便秘と心血管病・脳卒中の関係

言うまでもなく今年は例年よりも暖かいのでしょうね。草木の花が一気に開き、それはそれは美しいものの余りにも花期が短く残念な気持ちになってしまいます。この調子だと今年も暑い日が早く訪れてくるのでしょうか。熱中症・皮膚病・食中毒・・・今から注意が必要かもしれませんね。体調のバロメータとして、睡眠・食欲・体重・体温・排便・発汗・疲労感などをチェックする習慣をつけてはいかがでしょうか。人間ドックなどでの検査も重要ですが、もっと私たちの身体の感覚を研ぎ澄ましてみたら多くのことに気づけると思うのです。

『未病』という言葉を時々聞きます。病気の早期発見という意味で使われたり、病気の予防法の一環として使われたり、使う場面によって微妙にニュアンスは変わっています。どちらが正しいと言うよりも、本当の病気になる前に何らかの行動をするということは健康寿命を延ばす上でも望ましいことです。同じ検査結果であっても、1年後に病気になる方と3年・5年も病気にならずにいる方の違いは何?と健康を維持する要素を考えるのが健康生成論です。

論文名・著者名を忘れてしまいましたが、健康維持要素の一つとして経済状況が上位にあったのは意外でした。でも、最低限のお金が無いと健康すら犠牲にされると言うことです。病気の治療にしろ予防策にしろ、なるべく安く済むような提案が専門家から出されれば、全体の医療費も安く抑えられるのではないかと考えています。

そこで、興味深い研究結果が出ました。「排便回数は、心血管病や脳卒中による死亡と関連する」という東北大学の本藏先生からの報告です。
40〜79歳の約45,000人を13年間にわたり追跡調査した結果、排便頻度が「1日1回以上」の人に比べ、「2〜3日に1回群」は1.2倍、「4日で1回以下群」は1.4倍、死亡率が高いとの結論が出ました。

それぞれの死亡率が2割増・4割増の背景には、その何倍もの方が心血管病や脳卒中を経験し治療を受けているという事実があります。当然、高額な医療費が必要とされますし、日常生活も不自由になります。脳卒中で麻痺でも残れば、自分自身だけでなく周り(主に家族)にも面倒をかけることになります。

何故、排便回数が影響するのか?推測してみると、いわゆる便秘により腸内菌叢のバランスが乱れたために血管のダメージや血液が固まりやすさが増したことが一つ。大便中の有害物質が再吸収され、全身の血管や血液に悪影響を与えた可能性が一つ。便秘の人ほど排便時に息むことが多いだろうから、繰り返す「息む→血圧の一時的な上昇」により血管のダメージが拡がったことが一つ。
こんなことが考えられるでしょうか。

「だから便秘薬を!」などと安易に言うつもりはありません。もちろん、まず出すことは大切ですから便秘薬を適切に使って快適な排便習慣をつけてほしいものです。その後で、便秘薬に頼らない「本当の意味での便秘からの卒業」を目指します。整腸薬を使うこともありますし、食物繊維が有効な方もいます。漢方薬で腸を温めることが必要な方もいますし、腸の蠕動運動を回復させなくてはいけない方もいます。マッサージや運動が効果的な方、そもそも絶対的な食事量が不足している方もいます。
それぞれに合った適切な方法を見つけ出すことが重要なのです。

私は、基本的に「私たちの身体は常に治ろうとしている」と感じています。ですから薬を安易に使うことは、その治ろうとする力を無視することのように思えるのです。私たちの誰もが持っている「治ろうとする力」を活かすために、日頃の体調の変化に気づく感覚がとても重要だと思います。年に1回の健康診断だけでなく、高度の機械を使うこともなく、非常に原始的ですが「いつもと違う感覚」「ちょっとおかしい?」に気づいたら、体温計・血圧計・ヘルスメーターなどで簡単なチェックをしてみたらいかがでしょうか?

何か思い当たることがあれば、改善しましょう。身体の訴えに向き合って素直に対処することが大事なのではないかなぁ・・・と、考えています。そこで当薬局では、健康生成論の立場からまとめた日常の生活習慣・行動習慣の一覧を作って少しずつ配布しています。少しでも多くの方に理解いただけるといいなと思いながら。



漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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