スキンケアとアレルギー

石鹸を正しく使っていますか?

今年は1〜2週間ほど季節の変化が早いようです。確認はしてないものの桜前線の日本列島通過だって例年よりも早いはずです。春の草花は、徐々に咲く花の種類が移ろう風情を楽しんでいたのに、今年は一気に揃って開いた感じで個人的には残念な咲き方で終わってしまいました。暦の季節と実際の季節が、今年は一致しているようですから来月からは真夏のような日々になるのではないのでしょうか。身体には夏の暑さに対する対処法を思い出してもらわねばなりませんし、冷たい飲食物の摂り過ぎや冷えすぎる空調で身体の反応を乱さないようにしないと熱中症予備状態に陥るかもしれませんね。ご注意を!

さて、私たちの身体は複雑な反応を獲得してきました。ブレーキとアクセルのように互いに牽制しあうシステムを二重三重に作っています。免疫反応は代表的なものと言え、自分の細胞は保護して自分以外の細胞や物質で有害なものを排除するように出来ています。この排除するシステムがあるからこそ、病原体の侵入に対し病原体を攻撃することで私たちの身体を守っています。この反応が花粉やほこりなど病原性のないような物質にまで反応するようになるとアレルギー症状として、湿疹や痒み・充血・鼻汁・くしゃみ・咳・・・・などの症状が現れます。私たちの周りの環境は、自分以外の物質だらけですから、こんな反応が次々と起こっては健康な生活を送れなくなりますね。そこでブレーキシステムが常に働いてアクセルを踏み過ぎないよう(アレルギー症状を起こさぬよう)バランスをとっています。

このようなシステムが疲弊しないようにフィルターとして皮膚や消化管粘膜は機能しています。消化管は消化や解毒作用でアレルギー性を排除するように出来ていますし、皮膚はアレルギー性があるような大きい物質を通さないようにできています。皮膚はフルイのように小さいものは通し大きいものはブロックしてますから、小さい物質である薬は皮膚に塗ったり貼ったりすることで効き目を発揮します。ところが破れたフルイやザルが役に立たないように、皮膚のフィルターが壊れることがあります。

皮膚のフィルターが壊れれば今まで侵入できなかったアレルギー性の大きな物質も体内に入ります。ここで免疫細胞に認識されれば(目をつけられれば)アレルギーが成立し、アレルギー反応が体中で繰り広げられることになります。

ところで、私たちはこのフィルターを意外にも雑に扱いたびたび壊しているようです。それでもアレルギー症状が起きないのは上手くブレーキが機能しているからですから身体に感謝する必要がありますね。
石鹸の誤った使い方・髭剃りや脱毛・ピーリング・掻破(皮膚を掻くこと)・スクラブの使用・アルコールを含む薬品類・洗剤類の使用・皮膚の炎症・乾燥・一部の温泉・・・など、ザッと思いつく範囲で挙げてみました。

3〜4年前に大きな被害を出した「茶のしずく石鹸」による小麦アレルギーは記憶に新しいことでしょう。この事件でアレルギーの経皮感作が一気に注目されるようになったと感じています。そして消化管のようなシステムではなく物理的に大きさで区別する皮膚フィルター(皮膚のバリア層および角層)の重要性が再認識されるようになりました。食物アレルギーも経皮感作との関連があると報告されてます。

これから肌の露出が大きくなるにつれ、脱毛をされる方も多いでしょう。ピーリングなどに通われる方もいるでしょう。石鹸を使う機会も増えることと思います。フィルターが壊れた状態にあることを記憶にとどめ人工のバリア層としてのスキンケアを丁寧に実施してください。そして石鹸の使い方は、ゴシゴシこするのではなく細かな泡で汚れを包み込むようにするほうが良いのです。現代は、皮膚バリアを壊すような環境が揃っています。アレルギー疾患の増加と関連があるかもしれません。



漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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