今週末、日本東洋医学会と日本心身医学会が開催されます。どちらに行こうか迷ったものの今回は仙台で開催される日本心身医学会に参加することにしました。時々、学会の日程が重なることがあり、その時は大いに悩んでどちらに参加するか決めています。ある意味幸せな悩みですけれど年に1回の学術総会ですから折角のチャンスを活かしたいなぁと悩むのです。まぁ今回は明日の夜行バスに乗って仙台で勉強してきます。
今や、ガンという病気は2人に1人がかかるポピュラーな病気と言えます。恐らく多くの方がガンという病気に対して、格別な印象を抱いているはずで高血圧や糖尿病のような生活習慣病とは同じように考えないでしょう。そもそも多くの生活習慣病では直接命が危険に晒されているという感覚は生じませんが、ガンは他の生活習慣病よりも早く死を迎えるという印象が強くあります。早期ガンであれば手術によって生存期間が伸びるものの、他の生活習慣病では、手術そのものをほとんど行いませんから、こんな点からも同じ生活習慣病とは考えられませんよね。
でも、生活習慣を変えれば予防できるということなので、やはり生活習慣病ということができます。近年増加しているガンの一つに”大腸ガン”があります。米国がん研究協会(AICR)のベンダー氏は、「食事・体重・身体活動によって、米国の大腸がんの50%は予防できることが示唆される」と述べていることから、食の欧米化が進む日本でも積極的に生活習慣の改善に取り組みたいものです。
具体的な生活習慣の提案は、
・健康体重を維持し、腹部の脂肪量をコントロールする。腹部の脂肪は、体重にかかわらず大腸がんリスクは上昇します
・適度な運動を定期的に行う。運動=スポーツと考えず、家の掃除からランニングまで、さまざまな活動でよいのです
・繊維質の豊富な食べ物をたくさん摂る。1日あたり食物繊維10gを摂ると、大腸がんリスクは10%低下するそうです
・赤肉の摂取量を減らし、ホットドッグやベーコン、ソーセージなどの加工肉を避ける。
同じ重量で比較した場合、加工肉による大腸がんリスクは赤肉の2倍になるといいます
・アルコールは止めるか、控えめにする。
・ニンニクをたっぷり摂る。ニンニクの豊富な食事は大腸がんリスクを低減するデータが多数報告されています
私はこれに加えて”便秘の解消””野菜の摂取””良好なコミュニケーション”も提案します。腸内環境を調えたり、良好な人間関係を築いて、ガン予防につなげましょう。
多くの癌は、10〜20年かけて早期ガンに成長します。ですから、30代40代の頃から、できる所を少しずつ変えるだけで結果に大きな違いが生まれます。新しい抗がん剤も開発されていますが、どんな病気も「予防に勝る治療無し」です。そして提案された生活習慣は、他の生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、認知症、・・・)の予防や進行防止とも大部分は共通します。一石二鳥にも三鳥にもなるわけですから、この提案を上手く活用したいものですね。
多くの方が思うように、新しいがん治療薬が開発されても、癌は出来上がると厄介な病気であることに変わりはありません。漢方薬で悪液質の防止など体調管理を図ったりしますが、精神面の影響もガンの進行に影響しますからサイモントン療法やイメージ療法などを組み合わせて、心身両面からサポートすることが重要です。明後日からの日本心身医学会では、その辺りの情報も学んで来ようと思います。
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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局 廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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