胃腸の冷え、子宮の冷え、関節の冷え・・・

心身医学の世界に入って、かれこれ20年。当初は、メンタル疾患に対して漢方相談を受けた時どのような対応が好ましいのかなどを勉強することが目的でした。その内、縁あって日本心療内科学会に入り、認知行動療法交流分析自律訓練法を中心にいろいろな心理療法を知り研修を受け、そこそこ使いこなせるようになってきました。この間、身体の症状から心の症状まで幅広い相談を経験し、《身体の自然治癒力》《心の自然治癒力》を最近は意識することが多くなっています。
7月末に参加してきた日本ブリーフセラピー学会は、改めて《心の自然治癒力》を考える機会になっています。また、先週新潟で行われたペイン・マネージメント・ミーティングの内容と重ねても、《心の自然治癒力》を味方にできる治療家がもっと増えてほしいと思います。
私個人としては、今回の日本ブリーフサイコセラピー学会で、動機づけ面接(MI)、条件反射制御法(CRCT)、神経言語プログラミングNLP)、に対する認識を新たにしました。再度勉強し直して、薬局において積極的な心身医療の実践を試みるつもりです。

前置きが長くなりました。この暑い時期は《熱中症》が話題の中心になりますが、その一方で《夏の冷え》にも注意をする必要があります。現代社会において、冷蔵庫やエアコンの存在なしに夏を過ごすことなど考えられません。そうです、私たちは手軽に涼=冷えを手に入れられる環境で生活しているのです。何事もメリットとデメリットは表裏一体の関係として同時に存在してますから、快適さ(メリット)と体の過度の冷却(デメリット)にも目を向ける必要があります。

夏は周囲の環境が暑いので、身体全体が冷えるということは少ないのかもしれません。だから、なおさら《冷え》を意識することが少ないのでしょう。ただ、その中でも《胃腸の冷え》は身近に感じることができる《夏の冷え》かも知れませんね。冷たい飲食物の摂取により胃を冷やしたりすれば、腹痛や吐き気や食欲不振などの症状が現れます。場合によっては胃食道逆流症などと診断されているでしょう。また、腸を冷やした場合には、腹痛や下痢や腹部膨満感などの症状を経験しやすくなります。こちらは過敏性腸症候群などと診断されているかも知れません。
一時的なものであれば「ちょっと冷やしたかな?」などと考えて、冷たい飲食物を控えた経験がどなたもあるのではないでしょうか?

しかしながら意識しにくいものとして《子宮の冷え》に気づいている方は非常に少ないように感じます。印象では夏限定というよりも1年中慢性的に抱えている《冷え》のようです。症状としては、生理痛や子宮内膜症、生理不順、短い高温期や低い高温相、性交痛、不妊、膀胱炎や膣炎を繰り返す、下半身の浮腫みや重だるさ、・・・など、幅広くあります。原因は、下半身や腰腹部の露出からくる冷えが一番考えられます。足が冷えている方は、冷えた血液が心臓に戻るときに子宮も冷やしてゆくと考えると理解しやすいでしょうか。
なお、女性の場合《腸の冷え》と《子宮の冷え》を同時に持っている方も多くいます。衣・食・住を根本から見直すことが大切なのではないでしょうか。

最後の《関節の冷え》は《冷え》単独というよりも《冷え》+《湿気》により関節痛などが発生します。この場合の《湿気》は、空気中の水分だけでなく体内の水分も関係します。熱中症に対する過剰な予防策は体の処理能力以上に水分を摂取することになり、過剰な水分が《病的な湿気》に変化します。《冷え》と《湿気》は相性がよくコンビを組んで身体を傷害します。《冷え》はエアコンなどからくるものが多く、省エネの点からも過剰な冷房には気を付けたいものです。

治療に用いるものは漢方薬が中心になります。もともと西洋医学・現代医学には、《冷え》という概念が存在しないため、治療法そのものがありませんから。最近はマスコミの影響でしょうか、《冷え》というと何でもショウガにつながりますが、東洋医学では《胃腸の冷え》には○○、《子宮の冷え》には◇◇、《関節の冷え》には△△、というように《冷え》のある部位によって使い分けがされてきました。恐らく全く効かないこともないのでしょうが、きちんと適材適所で使う方が少ない量で最大の効果を得られますし、コストも安く済むことになります。

何か、身体がサインを出して来たら、身体の声を聴いて早め早めに対処すれば、大きな病気に発展しないものと考えます。現れたサインがわからない場合は、遠慮なく相談ください。同じサインを示しても、病気になる人とならない人の差は、サインに対する対処法で違うのですから。



漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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