舌の荒れ、舌の痛み、舌炎、・・・

各地で、体温以上の気温を観測してますね。この暑さでは、体調管理も難しい面があると思いますが、エアコンを適切に活用して無事に今夏を乗り切りましょう。また日中の高校野球と深夜のオリンピックがお盆休暇と重なり、生活リズムも崩れやすいことでしょう。自分の身体に調子を聞きながら、お盆明けに倒れることの無いようご注意ください。

さて、消化器科の医師によると高齢者の胃は薄く(萎縮)なってくるそうで、胃と同じような変化が舌でも見られるのかなぁなどと考えています。時々「舌が痛い」とか「舌が荒れる」とか「潮味が沁みる」とかの相談を受けることがあり、舌を見せてもらうと舌の表面が薄くなっていることが多いのです。その結果、痛い・荒れる・沁みるなどの知覚異常が生じているのでしょう。

舌の色から、東洋医学でいう『熱』の存在が考えられますから熱を冷やす『清熱剤』を使う機会が多くあります。ただ、これは対症療法的な使い方になりますから「なぜ舌に熱が存在するようになったのか?」の原因を考えて、原因を解消しなければ再発を繰り返すばかりです。そもそも、高齢者なら清熱剤を長期間使うことには慎重にならないと、必要以上に身体を冷やし元気を失うことになるかもしれません。プロの漢方家、プロの医療者として、注意が必要な場面ですね。

そこで、加齢以外の原因では、何が舌を萎縮させるのか?という疑問の答えを探さないといけません。粘膜の新陳代謝を考えれば、食事・栄養にまず注目したくなります。たんぱく質・ビタミン・ミネラルなどの摂取に不足はないのか確認しながら、必要があればサプリメントや栄養剤を飲んでもらいます。
高齢女性であっても腎臓に問題がなければ、たんぱく質は1日40〜50gは必要ですが、この量を肉類だけで摂ろうとすると1日200〜250g食べなければなりません。恐らく多くの方が不足していると思われます。
また、ビタミンならB群を中心にビタミンA・ビタミンCのチェックを、そしてミネラルなら鉄や亜鉛が不足してないかのチェックを行いたいと思います。

舌にトラブルがあると、食事も美味しく感じなくなり、食事量の低下から栄養障害で舌の改善が遅れる、の悪循環が生じることになります。ですから、早めにこの循環に気づいて介入することが重要です。
そして、消化管は1本の管ですから、胃や腸にトラブル(例えば萎縮性胃炎やクローン病)があれば舌にも影響が及ぶと考えられ、胃や腸の治療も並行して行わなければ舌の状態は改善に向かわないことでしょう。

私ら漢方家が陥りやすい間違いとして、何でも漢方薬で解決しようとすることです。東洋医学的に考えることは良いのですが、解決策は漢方薬以外にもあるわけですから、漢方薬にこだわり過ぎると相談者を必要以上に苦しめることになりますから気を付けたいと思います。

また忘れていけないことはベーチェット病やシェーグレン症候群などの自己免疫疾患などで、この場合は適切に専門医につなぎたいものです。さらに、心身症として舌の症状もあるので、面接の中でストレス状況などを上手く聞き出したいものです。心と身体を両方癒すようにすると、改善のスピードが速くなりますし、日本心療内科学会会員としては、決して忘れてはいけない重要な視点だと思います。

私の印象では、改善のスピードは他の相談に比べれば早くないかもしれませんが、回復する方法は必ずありますから諦めずに相談いただきたいと思います。


漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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