本日、市の”胃がんリスク検診”を受けてきました。ピロリ菌の発見以来、胃潰瘍治療はピロリ菌除菌が中心となり、今や胃がんの原因も97%くらいはピロリ菌だと言われます。かと言って、ピロリ菌がいれば必ず胃がんになるわけではないものの、日本人に多い胃がんを減らすにはピロリ菌対策は重要な予防策なのです。私らの世代は、井戸水を使用していたこともあり、ほとんどの方でピロリ菌がいると言われています。結果は2週間後ですが、淡い期待を持ちながら過ごしたいと考えます。
今週は、明日・明後日と新潟市で開催される《日本心理教育・家族教育ネットワーク研究集会》に参加してきます。また来週3月4日(土)は、《ナラティブ・コロキアム》出席のため東京に出かけます。2週続けて週末を留守にしますが、相談技術の向上を通して皆さんに還元するつもりです。
さて、一部を除き大部分の病気は、病人自身に病気を治すパワーが宿っていると実感しています。漢方相談をしていても、心理療法・カウンセリングをしていても、本人の治る力(回復力)を信じてパワーを引き出す手伝いをしただけと感じることが多くあるのです。ただ、何らかの原因で『回復力』が抑えられているだけでしかないと、そして邪魔しているものを動きやすくするのが私ら医療者の役目なのだと最近考えるのです。
そんな折、今週行われた《長岡認知症連携講演会》で興味深い報告を聞きました。「認知症は患者を二人つくるー認知症初期集中支援チームの役割ー」と題した、さいたま市認知症疾患医療センター院長補佐・島津智一先生の実践報告でした。認知症は記憶障害を中心とする中核症状があり、徘徊や易怒性や妄想などの周辺症状を伴う病気です。介護者にとって悩ましい周辺症状に対しては、向精神薬や抗不安薬などが一般に用いられていますが、過鎮静などの副作用(?主作用というべきか?)もまた現場では問題となっています。そこで一部の漢方薬が用いられ、これはこれで一定の評価を得られています。
一般的に行われている「問題行動を如何に抑え込むか」という発想の薬物治療に対し、島津先生は「睡眠リズムを作ることで問題行動を解消する」という発想で治療しています。たったそれだけのことですが、その効果はめざましく抗精神病薬や抗不安薬が不必要になるほどです。ただ昼間行動して夜間は休むという睡眠リズムを作るために数種類の薬物を組み合わせています。薬物の種類が増えれば副作用のリスクも上がりますし、認知症の方に服用してもらう困難さも増すことでしょう。でも、一時的な負担は増しても、それを上回るほどのメリットがあることも事実です。当たり前に固執しない姿勢が、この発想に結び付いたのでしょうね。
でも私が注目したのは、この薬物療法ではなく睡眠リズムを改善することの効果です。薬物を使わずに睡眠リズムを改善することは、多少時間はかかっても不可能ではありません。例えば、起床時に強い光を浴びることで体内時計がリセットされることは有名な話です。朝食も体内リズムのリセットに効果的だとされます。これらの方法を適宜組み合わせて実施すれば、仮に薬物を使うにしても最少で済むことは容易に予想できます。
そして、もっと注目したい事実があります。島津先生は、睡眠リズムの改善で問題行動が解消しても、認知症そのものが改善したわけではなく、一時的に症状が重症化したように感じただけだと言っています。「睡眠リズムの崩れることで身体が正常化しようとする本来のパワーが弱められていただけ」であり、「睡眠リズムが整って笑顔を見せてる今の状態が本来の認知症の状態なんだ」と。
つまり、睡眠リズムを崩しやすい現代社会は、非常に危険な社会なのではないでしょうか。就寝時間が後にズレ、起床時間が遅くなれば、朝食を食べる時間が無くなります。こんな生活パターンで暮らしている方は大勢いるのではないでしょうか。精神疾患、自律神経失調症、自己免疫疾患、アレルギーなどの増加に何らかの関連があるように感じてしまいました。
「朝起きられない」から脱するために、何ができるかを一人一人考えることが重要なようです。
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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局 廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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