花粉症の人には申し訳ありませんが、匂いに関する話題をしようと思います。当薬局では漢方薬を扱っているので、初めて訪れた方は特有の匂いに気づきます。「落ち着く」という人もいますし「変な匂い!」と正直に話す子供もいます。私は常にこの匂いに接しているため当薬局の匂いを全く意識することはありません。そうです、不思議なことに嗅覚って慣れることがわかっているのです。だから、当薬局に入って匂いを感じる方は、慣れが生じてないという点で利用頻度が低い(逆に言えば健康度が高い)と言えます。反対に匂いを感じない方は、当薬局にとっては上得意様となるわけです。でも、上得意様という表現はこちら側の視点からで、皆さんにしてみればありがたくない表現になります。
さて、私たちの感覚(視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚)のうち、嗅覚だけは脳の中枢に直接信号が入る仕組みになっています。他の感覚は、大脳を経由してから中枢に入るため嗅覚とは異なった反応になります。それだけに、嗅覚は特別な感覚と言って良いでしょう。
この嗅覚と病気の関係では、認知症についての研究報告があり、嗅覚が低下している人ほど認知症のリスクが高いのです。他の感覚でも同様の結果は想像できますが、感度の点で嗅覚が指標としては優れているのだと思います。
つい最近入った情報では、嗅覚の低下と寿命にも関連がみられたというものです。つまり、嗅覚は脳の老化だけでなく、身体の老化も反映しており、まだ明確な理由はわかってないものの老化度(あるいは余命)の一つの指標になるようです。また嗅覚障害は、高齢者では70%にみられるものの、若年層では15%以下とのこと。そして別の研究では、嗅覚検査の成績が悪い高齢者は、嗅覚が鋭い高齢者よりも早く死亡する可能性が高いことが示唆されています。
では中年期でもこうした関連性がみられるのか、また認知症が関与しているのではないのか、の観点から10年にわたり調査した結果が、中年でも嗅覚が低下している人ほど死亡の危険性が高いことがわかったのです。嗅覚が鈍くなる原因は、ケガや副鼻腔炎などの感染症、アレルギー、薬の使用など多岐にわたりますが、なかでも慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)と慢性アレルギー性鼻炎への対策が重要となるでしょう。
慢性副鼻腔炎は抗生物質による治療がメインとなりますが、慢性に経過する病気のため、使用する抗生物質に対する耐性菌の問題が常に付きまといます。さらに抗生物質の連用により、腸内細菌叢に対する影響も大きく、場合によっては別の問題が生じる可能性も懸念されます。
慢性アレルギー性鼻炎では、抗ヒスタミン薬が中心となります。しかし、鼻閉(鼻づまり)があれば抗ロイコトリエン薬が必要になりますし、重症度によるものの局所とはいえステロイド点鼻薬を使用する可能性もあります。しかしながらステロイド点鼻薬の常用は鼻感染症のリスクを高めますから、メリットとデメリットを天秤にかけながら治療を進めることになります。
これらの病気に対して一つの可能性を上げるなら、漢方薬も有望な選択肢と思います。抗生物質が効きにくい慢性副鼻腔炎に対しても、直接原因菌を叩くのではなく身体の免疫機能を高めて間接的に治癒に導きますから耐性菌の心配も腸内細菌叢を乱す可能性もありません。慢性アレルギー性鼻炎に対しても、鼻閉を伴うケースに対応する漢方薬がありますし、アレルギー反応を抑える免疫寛容状態になるケースも報告されているのです。もちろん、感染症のリスクが高くなることはありません。
ただ、漢方薬の選択に関しては、東洋医学に詳しい専門家に相談する方が、安く早く治癒につながることと思います。新潟県内の方なら、ぜひ当薬局においでください。
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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局 廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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