大寒波に覆われた1月・2月とちがって、3月以降は急に暖かい日が続いています。おかげで、いつの間にか桜前線も過ぎ去り、春を楽しむ余裕もなく全国的に夏が訪れたような天候ですね。熱中症に対する注意も始まりましたし、暑さや日光による対策を怠らないようにしたいものです。
今や、紫外線ケアは女性を中心に当たり前のこととして普及しています。日焼けによる皮膚老化(シミ・しわ・皮膚がん・・・)を意識して、日焼け止めや日傘や腕カバーなどで防御されています。そして、紫外線の多い正午前後2時間は、外出を控えたり、しっかりと紫外線ケアをしているわけです。ハイ、皮膚に対してはこれでOKです。ですが、眼に対しては少し注意が必要なのです。
日差しが強い正午前後、太陽光はほぼ真上から降り注ぎます。このとき太陽に顔を向けている人でもなければ、眼に入る太陽光は意外にも多くありません。もちろん、反射光などもあり、油断はできません。でも、朝や夕方は太陽光に直接顔を向けていることがあり、この場合は日中よりも眼は危険にさらされていると言えます。皮膚でいうなら日傘や腕カバーに相当するのは、サングラスです。眼の保護を考えればできるだけ面積の大きなサングラスが望ましく、加えてサングラスに表示されている紫外線防御率をチェックして100%に近い製品を選ぶと良いでしょう。
ただ、サングラスだけでは不十分なので、ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化物質を積極的に摂りたいものです。私の考えは、基本的に食事からの摂取が一番と考えています。しかし、量的に十分な摂取量が難しいものもありますから、健康食品やサプリメントを上手に利用することが大切かと思います。たまに、健康食品やサプリメントを優先的に考えている方がいますが、全く逆です。健康食品やサプリメントは、効率的に特定の成分を摂取できるものの食品からの摂取では考えられなかった副反応なども発生しており補助的なものと位置付ける方が良いと思います。
さて、紫外線による眼の影響では、まず白内障が挙げられます。水晶体というレンズ部分が白く濁ってしまう病気で、個人差はあっても誰でもなり得る病気と言えます。最近は日帰り手術が盛んに行われており、非常にポピュラーな病気ですが予防できるものなら予防したいものです。サングラスだけでなく、新鮮な食品に多く含まれる抗酸化物質を積極的に摂りたいものです。ビタミンCやビタミンEも組み合わせれば更に良いでしょう。
そして、白内障ほどポピュラーではないものの失明の危険性が高く注意が必要な病気に加齢黄斑変性症があります。滲出型・増殖型とあり、治療法は異なりますが、厄介な病気であることに変わりありません。この病気にも紫外線が影響していると言われ、その影響から眼を保護しているのが網膜色素です。網膜色素は光線エネルギーを減少させて、酸化や炎症を防いでいると考えられています。日本人を対象としたJFAMスタディでは、ルテインとゼアキサンチン含有サプリメントの服用による予防効果が報告されました。
この報告によれば、ルテインとゼアキサンチン含有サプリメントを続けて飲んでいる人に比べて、飲んでいないか飲んでいても続けて飲んでいない人では、発症率に10倍もの差が出たと言うことです。体内で起こる酸化反応や炎症反応はじわじわと組織を傷めているので、飲んだり飲まなかったりでは防ぎきれないということです。その点でも、毎日忘れない食事は重要と言えます。改めて、予防効果のある食品を挙げると、ビタミンA、C、Eなどの抗酸化ビタミン、ルティンなどのカロテノイド、亜鉛などの抗酸化ミネラル、ω-3多価不飽和脂肪酸などです。ちょっと意識してみませんか。
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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局 廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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