産後うつについて

 まるで「地球が怒っている」ような災害が全国で起きています。どんなに文明が発達しても自然災害の前では、人間なんて無力だと何度思ったことか。地震は事前の予想が難しいものの、風水害はある程度予想が立ちます。少し早めの行動で、被害は最小に抑えられます。まだまだ秋雨前線の影響が考えられますので、油断せず対策をとりましょう。遅ればせながら、今年被災された皆さま、および関係される方々に、1日も早い日常生活が戻りますようお見舞い申し上げます。そして、他界された方のご冥福をお祈りいたします。

 数日前のニュースで、妊産婦の死亡原因としてトップが自殺で約3割に及ぶとの報告がありました。調査した国立成育医療センターの研究チームによると、背景には経済的な問題や高齢出産などが考えられるとしています。私は、この3割という数字にもビックリしましたが、死因の2位が約2割の妊産婦を襲ったガンということにもビックリしました。どちらも適切な対応が望まれます。

 妊産婦の自殺防止策として、制度的な改善である程度の予防はできると思われます。例えば、経済的問題には補助金などを考慮すればいいように。高齢出産に対しては、一朝一夕というわけにはいかないと思いますが、高齢出産がリスクだという教育や結婚・妊娠などに対する社会的な意識変革が必要なのではないでしょうか。そして、「産後うつ」という状態があることを知り、当人だけでなく夫や家族、友人・知人までが異変に気づくことが重要でしょう。

 「なんとなく変かな?」という段階で介入できれば、薬の使用も最少で済みますし回復も早いため、母子関係への影響も少しで済みます。大切なことは母親の自殺を単に減らせばいいのではなく、赤ちゃんの健全な発育に必要な母親の愛情を注げる環境を守ることなのです。この部分は、数字だけ見ていてはわからないので、想像力を働かせて対応に当たりたいものです。自殺を何とか思いとどまっている妊産婦さんにも、暖かいまなざしを向けて育児の負担を軽減したいものですね。

 では、どんな対策があるのでしょう。私が挙げるのは一部分にすぎませんが、いつもと違う異変に気づくことが最初のステップです。産後のうつ病うつ状態というのなら、薬物療法もありますが極力最少現にしたいものです。東洋医学的には、血虚という状態が可能性として一番高いので、漢方薬を使ってもいいですけど、食事・栄養の見直しも重要です。たんぱく質やミネラルを十分に摂ることが先ず重要でしょう。食事ならば妊婦の時から予防も兼ねてでき一石二鳥です。

 家族療法的には、夫の協力が必要です。妻の育児に対する理解、労いの言葉や負担の軽減など、何気ない気遣いが大きな意味を持ちます。もちろん、夫だけでなく周囲の人の協力も大切ですね。うつ状態では、思考や認識などが制限され物事に対する柔軟性が失われてきます。このとき、豊かなコミュニティがあれば柔軟性を保ちやすく発症を防ぐことができるのです。と言っても、口だけのお節介焼きでは困りますが・・・。

 つい最近のケースでは、肝の血虚を治す漢方薬で産後のうつ状態・不安症が改善しています。この人には、1年後の赤ちゃんの様子や親子関係を想像してもらったところ、明るい未来が語られましたので、「楽しみですね」とコメントを返して将来の不安や心配をプラスに転換しました。私の相談は、漢方薬であっても減らせるような心理的介入を入れています。周囲の人の暖かい言葉も、妊産婦にとっては大きなパワーになっていることを忘れずに、声をかけてあげてください。


漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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