切れ痔の前と後

普段は暑がりな私でも長袖で過ごせるくらい涼しくなってきましたね。今年の紅葉はきれいに染まってくれるでしょうか。去年はバタバタしていたのか、老化のせいか、記憶がありません。


食欲の秋とも言われます。食べたものは口から入り肛門から出ますね。漢方では排泄を重視し、相談では必ず大小便の具合を尋ねます。大便が固すぎず軟らかすぎず、ほぼ毎日定期的に出ていれば肛門に大きなトラブルはありません。


切れ痔は便が硬い場合に発生しますから、女性に多い痔です。腹部の構造上の問題なのか、何故か女性には便秘が多く、そのため切れ痔になる方も多いのです。切れ痔の前には便秘があり、便秘(便の性状)の解消が必要です。


痔の相談は恥ずかしいものです。恐らく多くの方はドラッグストアなどの会話しないで購入できるところで痔の薬を買うことでしょう。切れ痔は肛門の入口(出口か?)が切れますから、坐薬では薬が奥過ぎて効果が期待できません。


購入量が伸びている注入式の軟膏では、少量を指で取り肛門部に塗ればいいのですが、坐薬同様奥に注入しては効果が期待できないでしょう。切れ痔には、軟膏を中心に薬は使用すべきと考えられます。


指などを怪我した時、同じところを繰り返し怪我すると皮膚が厚くなってきます。ケロイド体質の人は1回でも厚くなりますね。肛門でも同様のことが起こり、切れ痔を繰り返していると、切れた肛門部の皮膚が厚くなってきます。丸い管の内部が厚くなってくるのですから、管(肛門)は狭くなってきます。


狭くなれば便は更に排泄困難になりますし、新たに切れ痔を作る原因になります。切れ痔がある人で便が細くなってきたら、注意して欲しいと思います。このようなことが繰り返し起こることで、終いには肛門狭窄という状態になるのです。


切れ痔の前には便秘があり、後には肛門狭窄があります。切れ痔は症状を聞けば、大抵判断できます。肛門狭窄を起こさないようにするには、便秘対策は欠かせません。特に便が硬くならないようにします。毎日排便があっても硬い便の場合は、便を軟らかくするため、繊維を多めに摂ることを基本とします。


水分の摂取と便の硬さに関係はないと思われますから、水分を積極的に摂る必要はないでしょう。むしろ便に水分を含ませる薬剤(酸化マグネシウム・ボウショウなど)や便を通過させやすくするマシニン入りの漢方薬を使用します。


切れ痔は軟膏治療が中心になります。当薬局で作っているヘモ軟膏や紫雲膏がよく効きます。ただ肛門の傷と考えればわかるように傷の洗浄が基本ですからウォッシュレット機能がない場合はレーバンGローションという肛門専用のローションで洗浄してから軟膏を使うと効果が数段上ります。


食欲の秋、美味しく食べるのも結構ですが、カロリーオーバーや肛門のことも考えて、上手に楽しんでください。

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皮膚科の病気・生活習慣病心療内科相談・不妊症・漢方薬
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局
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