「痔?」と思ったら

先週の東洋心身医学研究会での発表も無事終わり、ちょっと精神的にゆとりを感じています。その一方、発達した低気圧により一気に冬に逆戻りし、除雪作業で肉体的な疲れを感じています。明日は、漢方の私塾で私の担当なので、資料を整理して講義してきます。今日の話題には関係ないことですが、嬉しい報告を一つ。電話とメールでカウンセリングをしている引きこもり状態の相談者が、外出への一歩を踏み出したとの連絡が入りました。いろいろな心理療法のテクニックを駆使して約2年半、お互いよく頑張ったと思います。

さて、下半身の病気は、誰しも診察さえも嫌なものです。だから、できるだけ人知れずにこっそりと治したい、そんな気持ちを抱きます。今は情報も手軽に入手でき、病気をある程度想像でき、それに対する薬をネットであれば顔を合わせることなく、ドラッグストアでは会話せずに薬を購入できます。それはそれで、ある意味便利なのでしょう。けれども、私たちの扱う薬は、場合により生命に直結する病気に関係することもあるのですよね。乳腺症と診断され、定期的な診察でも乳腺症との診断が変わらず、漢方相談に関わってきた人がいます。最近、直接見せていただき、別の病院を紹介して乳がんと診断された方がいます。恥ずかしいけれど、不安だけれど、との気持ちもわかりますが、最低限きちんと相談して薬は購入する方がいいのではないかと考えます。

さて、先週のクローン病の勉強会。クローン病は、身体の免疫細胞に対する医薬品ができてから、状態が安定しやすくなりました。何故、この病気になるのか、まだまだ疑問は多くありますが、少なくとも症状に苦しむことは少なくできるようになってきたのです。このクローン病は、比較的若い人に発症します。しかも、10年と言う単位で、手術を行うようになったりすることも知られています。新しい治療の登場で、このサイクルも変化するかもしれませんが、若い人に発症することを考えると、長期的には発がんということも視野に入れておく必要があります。

その早期発見の、ひとつの手がかりとして、肛門の異常があります。出血があったり、イボのようなものに触れたり、一見ありふれた「痔」のように思われます。ある程度の年齢になれば、大腸がんの可能性も考慮して、一度は診察を受けることになるでしょう。でも、若い人であれば、大腸がんのような病気は可能性が低いので、さらに羞恥心も手伝って一人でこっそりと解決することを考えるでしょう。ここに落とし穴があります。クローン病の可能性を疑うことができれば、受診するのでしょうね。この言葉は、そっくり我々薬剤師にも当てはまります。若い人の時に似た症状から、クローン病の可能性にたどり着ける薬剤師は多くないでしょう。

大腸がんと違って、1日も早く、と言うわけではありませんが(早い方がいいことに変わりありません)、痔を疑って薬を適切に使用して、それでも改善しなかったら、我慢するのではなく、諦めるのでもなく、一度専門医(外科系)に診断してもらってください。それで、「痔」ということになっても、いきなり手術にはなりませんから。



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