妊婦と脳血管障害

私の住む長岡市では久しぶりに雨が降ったように思います。秋とは言え植物にとっては待望の恵みの雨ではないでしょうか。県内では冬に備えて雪囲いも始まり街路樹の枝落とし作業も行われていますが、紅葉前の街路樹が切られるのを見るとチョット残念な気持ちになりますね。


さて先日東京墨東病院で妊婦が出産後に脳出血で死亡するという残念な出来事がありました。妊娠すると脳血管障害の危険性が高まるということを恥ずかしながらはじめて知りましたが、よく考えてみれば不思議ではないのですね。


妊娠すれば胎児にも栄養を送る必要がありますから血液の需要が増えます。血圧が上ったり蛋白尿が出たりする妊娠中毒症は、自然に発症するのが当たり前なのかもしれません。妊娠中毒症にならなくても心臓や血管に普段より多くの負担がかかることは間違いありません。


血圧が上って脳の血管が破れれば脳出血クモ膜下出血になります。血液粘度が上ったり過度の安静や心臓への負担から血栓ができて脳血管を塞げば脳梗塞になります。このような状態に妊婦はなりやすいのだと心得る必要があるのでしょう。


漢方では古来より安胎薬と呼ばれ妊娠期・出産・産後を通して妊婦の保健を保つ薬があります。代表的な薬はトウキサンですがエキス剤にはないため通常の保険診療ではまず用いられていません。


このトウキサンは漢方でいうところのオケツを除く薬です。オケツとは血流障害を伴いますから、妊娠中トウキサンを飲んでいると血流障害を防ぐことができると考えられます。また子宮など下腹部の過度な充血を鎮めるオウゴンも配合され妊娠中毒症の初期に用いて無事出産した方が数人います。


妊娠中毒症の予防に塩分制限なども必要ですが、無事に出産を迎えるために、産後の回復を少しでも早くするために、積極的に漢方薬を利用しても良いのではと思います。

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