認知症と排尿障害

とうとう国内で海外渡航歴のない人から新型インフルエンザ患者が発生しました。あれだけの体制をとっても(潜伏期間の関係で私は無理だと言っていましたが)残念ながらウィルスの国内進入を防げないのです。インフルエンザ非流行期であるにもかかわらず、です。


今回のウィルスの病原性が低かったから良かったものの、H5N1タイプなら国内で死者の発生を防げなかったでしょうね。極力他人との接触を避けられるよう日常品の備蓄を今一度確認しましょう。備蓄リストはひろはし薬局のホームページにあります。


昨日出席した”中越排尿障害セミナー”では、「中枢疾患とOAB」と題し東邦大学医療センター佐倉病院神経内科准教授榊原隆次先生の講演がありました。


認知症のタイプによって失禁などの排尿障害が現れます。そして認知症が重症化すればするほど排尿障害も重くなるという関係があります。脳血管型の認知症のように、排尿障害の発現から初期の認知症かも知れないと疑うことも出来るのです。


脳が身体の司令塔である以上、脳に異常が現れる認知症になれば、排尿障害だけでなく他にも多くの症状が現れます。これは認知症の治療(多くの場合進行を遅らせる程度)により排尿障害も改善したり悪化を防ぐことが出来ることを意味します。


講演の内容で、私が日頃相談する際に役立ちそうな情報はほとんどありませんでした。しかし、薬剤師として興味深い内容がありましたので専門的になりますが紹介します。


認知症のタイプで一番多いアルツハイマー型では、アリセプトという薬剤が使用されます。これはアセチルコリンという神経伝達物質を増やして認知症の症状を軽くします。また排尿障害では抗コリン薬も頻繁に使用されます。抗コリン薬はアセチルコリンの働きを邪魔するわけです。


この2つの種類の薬は、働きが正反対なのでプラスマイナスゼロとなりそうな感じがしますし、薬剤師としては処方医に確認する必要がある内容です。意外にもこの組合せで効果が現れるとの内容に、ビックリしたというのが正直な気持ちでした。


薬剤的にはありえない組合せが、高齢化に伴い今後は増えてくることもあります。私ら薬剤師にとって必要なのは、知識だけでなく実際に身体で起こる臨床変化なのでしょう。改めて再認識させられた講演でした。

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