地球は温暖化、体は低体温化

今年も、残り1か月半。早いものです。わたしは、地球物理学や気象学の専門家ではありませんので地球温暖化の真偽はともかく、体温の低温化、冷え症化は進んでいるように感じます。

冷え症の相談は、簡単ではないなぁと言うのが正直なところですが、体が芯から冷えている低体温のケースと血液循環が悪くて末梢まで耐熱をうまく運搬できないケースとそれらの混合したケースに大きく分けられると思います。これらを全部ごっちゃにして「冷えはこれで治る!」との宣伝文句には本当?と突っ込みを入れたくなりますね。逆に「すべての病気は冷えが原因だった」「冷えさえ解消すれば病気知らず!」みたいな表現にも違和感を覚えます。現実の臨床は、そんな単純なものではないことは真の臨床家なら百も承知のはずですからね。

まず、芯から冷えている低体温のケースでは、体温を生み出す基礎代謝から考える必要があります。代表的な病気では甲状腺機能低下症が挙げられます。代謝が落ちてエネルギーを消費しないために太りやすくなりますね。脳腫瘍など他の病気が原因で二次的に甲状腺機能低下症になっていることもありますので、きちんと検査する必要を感じます。特に病気がなくても、女性や高齢者では、筋肉量が少ないために熱の産生量が落ちてきます。ある意味、生理的なことですが、筋肉量を今以上に落とさないように運動することも重要な低体温の治療になります。サルコペディアでは、筋肉の代わりに脂肪が増えていたりして、見た目では筋肉量は判断できないことに注意が必要です。一番熱を産む筋肉を維持しないと、低体温はよけい進行することになりますが、運動には誰しも抵抗を示しますから、なかなか改善しにくい状態となります。この場合は、薬はあくまで補助でしかないことを忘れてはいけませんね。
また、冷えた飲食物や冷やす食材を多くとっているケースも、芯から冷やすことにつながりますね。冷えた飲食物とは、冷たいジュースやビール、生野菜のサラダ、アイスクリームなど。冷やす食材とは、一般的に旬が夏のもの、原産地が低緯度のものなど、細かく言うと大変ですから詳細は来局された方に一覧表を渡します。
このタイプの漢方薬は、カンキョウやゴシュユ、サイシン、ブシなどの生薬が入った薬方を中心に考えます。
どれになるかは、冷え(低体温)の原因が五臓(肝・心・脾・肺・腎)のどこにあるかで変わってきますので漢方に詳しい専門家に相談ください。

次に、末梢までの運搬がうまくいかないケースでは、体熱を運ぶ血液循環を考えます。高齢者で足先が冷えるケースでは動脈硬化が原因のこともありますよね。漢方で言う”気逆”では、熱の運ばれ方にムラガできて顔や頭がのぼせてほてっても手足が冷えるなんてこともあります。ストレスなどで自律神経のバランスが崩れて血管の拡張がスムーズでない場合には、自律訓練法やストレス対処など、薬以外の方法が有効ですね。
とにかく血液の循環と気の循環を考慮して薬などの方法を決めることになります。

実際のケースでは、両者が混合したケースが多いので、単純に「これ」と決められないのが悩ましいところですね。どちらの関与が強いかによってメインの方法が変わってきますから。どちらもターゲットにすれば確実なのでしょうが、金額が張れば継続しにくくなるので、その妥協点を見つけることも大切です。

原因によって正しく選んだ薬・運動・飲食物や服装などの生活環境、これら3つが低体温(冷え症)の改善には必要です。でも、ほとんどの人は運動と生活環境には手つかずなんですよね。だから私は、行動療法を勉強してよかったと考えます。「できないことをやれ」というのは最初から無理なわけで、「できるところをやる」ことで変化が期待できますからね。
特に運動には、多面的な効果が確認されてきていますから、少しでも取り入れたいですよね。

とにかく現在は、運動不足・飲食物や服装などでの冷やす生活環境・ストレスの増加による血管収縮・・・などがあって、体の低体温化が進みやすいのです。低体温化による心身の不調も増加してますし、子供にも増加するなど低年齢化もあり、地球温暖化同様に深刻な問題です。でも、冷えさえ治せばすべて解決なんて単純なことは言いませんよ。熱がイタズラしているケースもありますからね。熱は冷やし冷えは温める、ただそれだけですが重要なことです。

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