冷えと不妊症

今日は冬至です。昼が一番短く夜が一番長い日、漢方的に表現すれば陽が一番少なく陰が一番多い日となります。今日より少しずつ陽気が増えてくることから”一陽来復”と言ってるわけです。昼間の時間は延びても寒さは厳しくなりますから、インフルエンザなどの感染症に注意は必要ですが、明るければ気分が違いますね。

20日(日)は、定例の漢方勉強会・三考塾に行ってきました。医師も薬剤師も初心に帰って漢方の基本を勉強し研究する会です。ですから三考塾の仲間は、忌憚なく自分の意見を披露し、質問をぶつけ、各々の学習を発展させます。そのような集団って貴重ですね。さて、産婦人科のH先生と昼食を一緒にした時、婦人科の話題に自然となりました。いろいろな話が出た中で、不妊症について上手い例えがあったので紹介します。

”冷え”が不妊症の原因の一つであることは、多くの漢方家が自覚していることでしょう。冷えだけでなく、オケツと言われる血行不良状態や腎虚の範疇に含まれるホルモン異常、などももちろんあります。けれども、私の経験でも8割以上に程度の差こそあれ”冷え”が影響しています。有名な当○芍○散などで解消するくらいなら軽い方で、あらゆる温める薬方を駆使して身体のバランスを整えて妊娠に導くのが漢方の不妊相談です。

H先生曰く「ヒトより体温の高い鳥でさえ卵を温めて孵化させるんだから、冷えてたら卵子が温まらないでしょうね」って。ナルホド!って思いました。”冷え”の悪影響を話すことはあっても、どうして悪いのか今一つ上手く話しができなかった私には、一番の勉強になった瞬間でした。私たちがする説明は、説得ではなく納得してもらうことが重要です。立場上、説得させることは可能ですが、納得してない場合は黄道上の変化に結びつきませんから。

その点では、今回の例えは多くの女性の理解が得られるのではないかと考えています。私たちは、高熱に関しては過敏過ぎるくらいに反応しますが、低体温に関しては無頓着すぎるように感じています。ER(救急救命室)の現場では、高熱の肺炎と同様に低体温の肺炎は重症肺炎に位置付けれれているくらいですから、不妊症の現場でも同様の意識革命が当事者に必要なのでしょう。

ただ、世の中に多く出回る”冷え取り健康法”のように、なんでもかんでも温めればOKってものでもありません。漢方的には、冷えてる部位は温め、熱のある部位は冷やす、このバランスが重要なのです。ですから私たち漢方家は、冷えの存在を確信したら、どこを何の漢方薬で温めるかと考えるのです。いくつも方法がある中でその一つに当○芍○散があるのです。トウキで温めるケース、ショウガで温めるケース、ゴシュユで温めるケース、サンショウで温めるケース、・・・などと。

もちろん、ほとんどの人は生まれた時から冷えていたわけではありませんから、「今までのどんな生活で冷えを抱えるようになってきたのか」と考えることも必要です。その冷えを生み維持する生活を修正しない限り、漢方薬から卒業は出来ないわけですし、治療効果も削がれることになります。

また、冷えることは老化にもつながります。近年、不妊症の原因として”卵子の老化”がクローズアップされていますが、冷え症の女性は、それだけ卵子の老化も進みやすいのかもしれません。漢方で言う”腎”の機能と密接に関係し、ミトコンドリアにも注目されているようです。私は今まで、酸化(活性酸素)が大きく影響しているのではないかと考えていたので、新たな視点が増えたことになります。

初経の低年齢化と晩婚化により、女性のホルモンバランスに変化が現れてきているのかもしれません。子宮内膜症にしても乳がんにしても、女性の健康を考えたライフワークバランスの構築が必要のようです。私はほとんど見なかったのですが、コウノドリという番組がありました。高齢妊娠に伴い、胎児の染色体異常の割合は増えてきます。そのようなことを考えると卵子の老化を進める”冷え”と”酸化”の対策は不妊症相談においても重要です。

更に、残念ながら希望の妊娠がかなわないカップルも増えています。貴重な時間とお金を不妊治療に費やし、結果が伴わなかった人たちに私たちは「どのようなフォローをしたらいいのか」、心理カウンセラーとしても真剣に取り組むべき大切なテーマですね。このような難しいテーマにも責任を持って向き合ってゆきたいと思う今日この頃です。

もし、今日受精卵が誕生したとしたら、受精卵は陽気の塊ですから、文字通り”一陽来復”となりますね。一組でも多くのカップルに、恵みの一陽のあることを願っています。



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