ロイシンで健康寿命アップ

一昨日は新潟市での「高齢者の糖尿病と認知症機能」、昨日は「誤嚥性肺炎の予防」と題した講演会に参加してきました。どちらにも共通していたのは栄養の重要性。薬に携わっていると薬物療法にどうしても目が向いてしまいがちになるのですが、改めて栄養や食の大切さを感じてきました。

私は、漢方相談をベースにしていますから、食の大切さは承知しているつもりです。でも、科学的な栄養学の知識も必要だと思います。漢方的な食養生から生まれたとされるマクロビオティックに傾倒される方の相談も時折受けるに「ちょっと極端にやりすぎているなぁ」と感じることもあり伝統的な知識も科学的な知識も共に活用することが最も良い方法だと思うのです。

近年は、時間医学(病気や薬の効き方の違いを1日の流れの中で理解する医学)や時間栄養学の研究もあり、どの時間にどのように身体が反応するかわかってきてますから、この知識を活用すれば少い薬で低い副作用と最大の効果を得ることもできるようになってきています。また、どの時間に食事をすると良いのかなども続々と研究成果が出てきています。最新のデータと、未だ科学で解明されていない食物の温性・寒性などの伝統的な知識を合わせると、最高の栄養学になるのではないでしょうか。

さて、健康寿命を脅かす要介護の状態になる主原因は、認知症であり、骨折などのロコモティブシンドローム(筋肉や骨・関節などの弱った状態)であり、生活習慣病などの病気です。その予防に共通するのが運動です。運動によって、脳に刺激を与え、筋肉や骨を丈夫にし、血管を若く保つことで健康度を高めて健康寿命を延ばすことが可能です。その鍵をロイシンが握っています。
今や平均的に、男性で約10年、女性で約13年の要介護期間を送っています。この期間を短くしたいと私は考えます。

特に筋肉量の低下は、体力の低下につながり、活動範囲が狭くなり生活の楽しみを減少させます。基本は食事でたんぱく質をしっかりと摂り、それを自分の筋肉とすることです。そして少い食欲でも効率よく筋肉を作るには、必須アミノ酸のロイシンが重要だと言われます。最近は、ロイシン高配合のサプリメントなどもあるようですが、まずは食事できっちり補いましょう。なぜなら食事には他にも必要なビタミンやミネラルも含まれるからですね。私たちはアミノ酸だけで成り立っているわけではありませんから、バランスよく食事をすることが基本なのです。

実際に、ロイシンを増やした食事をすると、通常の食事に比べて、筋肉の増加が多かったとのデータもあり、ロイシンに注目した食事が健康寿命を延ばすように思います。
また、その効果が一番高いのは、ロイシン摂取1時間後の運動だそうです。骨もそうですが、筋肉も刺激があって初めて増加します。食事だけ、あるいはサプリメントだけでは筋肉は増えないのです。
私がいつも言うように、基本は食事と運動なのです。

基本の食事がしっかりできるよう胃腸の調子を調えることも重要ですし、運動ができるよう体の痛みをコントロールすることも重要です。その時には、ぜひ相談いただきたいと思います。


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