治りにくい”にきび”の対処法

雪に慣れているはずの当地・長岡でも交通網がマヒするくらいに一気に雪が降りました。実は、24日に名古屋で行われた日本皮膚科心身医学会に参加してきたのですが、帰ってきたら駅はタクシー待ちで大混雑。車を停めていた駐車場(駅から離れたところ)に歩いて向かったものの歩道も雪に埋もれ、雪中行進のような雰囲気で辿り着いたら車を出せる状況ではなく、運よく捉まえたタクシーで帰路に着いたものの県道・国道を通るのが精一杯、市道を歩いて自宅に着きました。自宅に着く前に雪道にハマりこんでる知人の車に遭遇、知らん顔もできず着替えて救出の応援に、横になったのは翌25日の午前1時過ぎでした。

25日(月)は、朝から鉄道も国道も麻痺状態。仕方なく歩いて薬局へ。1時間半を歩くのは高校時代の寒稽古以来ですが、懐かしい思い出に浸る余裕もなく黙々と歩いて到着。それからは、薬局の除雪にかかり、数人の予約をこなした後は早めに閉局し、近所の知人の車で帰路についたものの大渋滞で、歩けば1時間半が4時間もかかりました。今日26日になっても相変わらず国道はパニック状態でしたから電車に切り替え、80分遅れの電車に乗ってきました。当然のことながら開局は1時間遅れ、ルーチンの薬局の除雪作業をこなし、筋肉痛を全身に感じています。

さて、皮膚科心身医学会は個人的には非常に居心地の良い会です。少人数なのでアットホームな雰囲気であり、皮膚科領域に限るものの内容は心身医学の話題が中心ですから、日本心療内科学会に所属し皮膚病相談も得意とする私にとっては満足しない理由が見つかりません。
皮膚病の多くは他人の目に触れることもあり本人にとっては大きなストレスとなります。ですから、医療者には純粋に皮膚科学的な視点だけでなく、メンタル面への配慮も必要なことが多々あります。ですが皮膚科学的に適切な治療が行われていれば大抵の皮膚疾患はコントロール可能なので、多くの医療者(薬剤師も含む)にとってメンタル面への配慮はさほど重要ではありません。残念ながら、これが現実でしょうね。

皮膚疾患・皮膚病に対して、最も基本的なことは皮膚を科学的に理解することです。皮膚を平面(二次元)としてだけでなく立体(三次元)として理解することであり、ターンオーバー(新陳代謝)も含めて四次元として捉えることの重要性を学会や教科書で学んできました。しかし、皮膚に現れている反応は、皮膚以外に原因があることもありますし、皮膚疾患が他の部分にも影響を及ぼしていることだってあります。前者は膠原病やガンや薬疹がありますし、後者はニキビやアトピー性皮膚炎により自尊心が低下しうつ病や引きこもりになるようなケースがあげられるでしょう。

皮膚科心身医学が本領を発揮するのは、トリコチロマニア(抜毛症)や皮膚妄想症や皮膚掻痒症などがあるでしょう。しかし、慢性じんましんやアトピー性皮膚炎やニキビのように、ありふれた疾患で治りにくいケースも対象として重要です。なぜなら人数が圧倒的に多いからですね。そして、これらの病気に対して多くの情報が発信され玉石混交の状態ですし、アトピービジネスと揶揄される悪質業者による被害も後を絶ちません。それだけ定まった治療法がないとも言えるのですが、なるべく多くの専門家のコンセンサスを得られるよう研究を発展させる必要があるでしょう。

本題に入ります、ニキビ治療の基本はスキンケアです。これは現在あるニキビを治りやすくするだけでなく、新たなニキビの発生を抑える目的もあります。面皰(コメド)と呼ばれる状態ならスキンケアだけで改善するケースは珍しくありません。特殊な石鹸(大概、高価すぎる)も必要ありません。汚れを取り余分な皮脂を除ければOKです。ポイントがあるとすれば皮膚の状態に合った適切な使い方(洗い方も含め)と継続する習慣でしょうか。

赤く盛り上がってきたら、角質軟化作用のあるイオウを含んだ医薬品の出番です。正常な皮膚には付けないよう一つ一つ丁寧にニキビに付けてゆきます。これで改善しない場合は、抗生物質が必要と考えます。抗生物質の軟膏なら薬局で手に入りますが、私はニキビに油脂で出来た軟膏を使うことに賛成できません。例え主成分の抗生物質がニキビに効果的であっても、油脂はニキビに逆効果ですから。したがって、スキンケアに乳液やクリームもお勧めできません。車に例えるならブレーキを踏みながらアクセルをふかすような行為ですから、問題が起きないとは言えないからです。

そうすると、通常の薬局・ドラッグストアではイオウ剤を使うことまでがニキビ対策の限界といえるかもしれません。でも、私は漢方相談ができるため、抗生物質が必要なケースでも十分対処が可能です。ニキビに使用される漢方薬には有名なものが二、三ありますが、それらで治るようなら簡単なニキビではないでしょうか。ニキビの背景となっている体内の問題(ビタミン・ミネラルなど栄養のアンバランス、便秘や肝機能異常などの内科的問題、生理不順など婦人科的問題、・・・)もあれば、いわゆるストレスとしてのニキビも珍しくありません。

色々な話をしながら、ニキビを悪化させる因子やニキビ状態を継続させる維持因子を探ってゆき、それを栄養学的・生物学的・東洋医学的・心身医学的な視点で検討(仮説)し方針を立てます。その方針に従って改善に向かわなければ仮説を再度組み立て直すのです。仮説通りに改善すれば、ニキビの原因となっていた原因因子を解消するためのケアにより、ニキビ治療の薬から卒業する流れとなります。

ニキビに関しては、皮膚科医では新しい薬剤も2〜3年前から使えるようになって治りやすくなりました。しかしニキビを悪化・維持している体内環境・心理状態にも配慮してゆくことが大切なのだと思います。その点からも、漢方の勉強と心身医学の勉強は欠かせないものと感じているのです。
そして、この視点は皮膚病・ひふ疾患に限らず、どのような病気・症状にも当てはまることだと考えています。



漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局
http://hirohashi-pharma.sakura.ne.jp/ (アドレスを変更しました)

過去のブログの主なものはホームページにリンクを貼ってありますから、見たい記事がありましたら《ひろはし薬局のホームページ→過去のブロ
グ》から探してみてください。(現在の更新はしてませんが・・・)
  あるいは⇒http://www3.ocn.ne.jp/~hirohasi/sub6.htm

メールは《Re:タイトル》でお願いします。メールマガジンの申込も随時受付中
     ⇒8hirohashi@gmail.com

薬事法の関係で、具体的な薬品名は表示を控えています。お知りになりたい場合は、直接ご連絡ください。

講演の依頼に関しては、ホームページに掲載してある講演内容を参考にして、お申込下さい

訪問による出張相談にも応じています。
引きこもり・うつ病などのメンタル相談、外見の気になる皮膚病相談、病中・病後など体力低下による外出困難な場合、などに