手の水虫?と思ったら・・・

病気や症状がなかなか治らない時には、治療戦略を見直したり別の視点で考えたりする必要があります。その中には、幼児期や少年・少女期の出来事がトラウマとして影響していることもあり、その場合はトラウマの影響度を下げたりゼロにする必要があると思います。少し前に相談したケースでは、機能性胃腸症の症状そのものは落ち着いているものの漢方薬から卒業できないので、理由を探ったら幼児期の嘔吐体験にたどり着いたことから、交流分析の再決断療法を組み合わせました。心療漢方家として漢方薬心理療法を組み合わせるようなケースは少なくないと思われます。ストレスやトラウマが絡んだ難しい相談が、最近は増えているように感じてますので、適切に処理しながら漢方薬など薬物療法からの離脱を図りたいと考えています。

私らの印象として、夏は皮膚疾患の相談が増える時期です。皮膚病相談も専門とする当薬局には「ドラッグストアなどで買った薬が効かない」などと相談に来る方が少なくありません。ドラッグストアではセルフでも購入可能ですし、ネットや配置薬など、一般の方が薬を入手する場合に専門家を介しない方が当たり前の状態では、似て非なる多くの皮膚病を区別して薬を選択するなど無理な話かもしれません。

さて、「手に水虫みたいな湿疹ができた」という方の手を見てみると、多くの場合は水虫(白癬)ではありません。できる部位にもよりますが、当薬局の経験では、汗疱(異汗性湿疹)が一番多い印象です。私は「掌にできたアセモ」という説明をすることがありますが、アセモとは出来方が違うので正確な表現ではありません。ただ多汗症の人に多い印象もあり、汗とは無関係ではなさそうです。多汗症に準じて発汗を抑えるローションを使用したり、角質軟化作用のある薬剤で対応します。時には漢方薬を使用したり、ストレスの関与が大きい人では心理療法を併用したりすることもあります。

掌の発疹では掌蹠膿疱症も経験します。漢方と同様に原因はハッキリしませんが、別の部位にある感染病巣との関連が高いようです。これは治りにくい疾患としても有名で、重症例では扁桃腺や脾臓を摘出したりすることがあります。それでも再発することが少なくないらしく、いろいろな治療が試みられています。東洋医学的には《血熱》を認めることが多いので、《血熱》に対応した漢方薬で改善します。そして体質的に《血熱》状態になりやすい方は、再発防止としての《血熱》対策が欠かせません。漢方薬に変えて経済的負担の少ない製品を勧めて様子をみるようにしています。

また、指の股部分にただれが生じることがあります。これも水虫と間違えられますが、多くはカンジタ菌によるものです。でも、水虫(白癬菌)もカンジタも皮膚糸状菌(真菌)で、ほとんどの水虫薬が効くので、間違えても問題にはならないのですが・・・。
ただし、私らはできるだけ正確に区別する習慣をつけないと「偶然薬が効いた。ラッキー!」では、専門家としてスキルの向上は期待できませんね。

私の経験では、ほとんどの場合は上記の3疾患でした。そして、区別することが重要なのは、それぞれ使用する薬が異なり、間違った場合には薬が効かないだけでなく悪化させることも有り得るからです。そこで私が大切にしているのが《2週間ルール》で、2週間経過しても変化に乏しい場合には、判断が間違っていると考える習慣です。慢性の皮膚疾患では2週間で完治はしませんが、何らかの改善は認められるものです。そのため、薬を決めるときには「この薬で2週間後にある程度改善しているか?」と自問自答しながら頭をフル回転させています。

いずれにしても、経過が長く治りにくい場合には「治りにくい原因」があるはずですから、だらだらと薬を継続したりせず専門家にご相談ください。


漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
http://hirohashi-pharma.sakura.ne.jp/ (アドレスを変更しました)

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