腎臓と老化

昨夜は、慢性腎臓病(CKD)についての学術講演会を聞いてきました。慢性腎臓病は心筋梗塞などの病気を起こす独立した危険因子として最近注目されています。そして老化を抑える遺伝子が腎臓には多く存在し、腎臓病ではその遺伝子が減少しているという内容まで話しは及びました。


その老化を抑える遺伝子はクロトー遺伝子と呼ばれ、腎臓と脳に多く存在しています。マウスを使った実験でクロトー遺伝子がないマウスでは明らかに寿命が短くなり、反対にクロトー遺伝子を補充したマウスでは寿命が1.5倍に延びたことから、人生120歳も夢ではないと話は膨らみました。


漢方の世界でも”腎”と言う概念が存在します。漢方で言う”腎”は非常に意味が広く、腎臓・副腎・生殖器・泌尿器・脳髄・骨歯・などを指し、下半身(足腰)や老化も含みます。したがって漢方では”老化=腎の衰え”とする考えが根本にあるわけです。


年をとると、足腰は弱まり骨や歯は脆くなり、脳も物忘れしやすくなります。また精力も衰え更年期を迎えたり、頻尿や尿漏れなどのトラブルも増えてきます。これらを腎の衰え(腎虚)と考えてきたのです。


一方で我々漢方家は腎の衰えを抑える漢方薬を備えており、老化防止薬として使用しています。代表的な漢方薬にハチミジオウガンやカンゾウカンキョウブクリョウビャクジュツトウがありますが、ロクジョウやハンピなど補腎薬を組み合わせて効果を更に高めた不老長寿製剤が研究されてきました。


”腎”は寒さを嫌いますので、身体を冷やす生活は老化を早めやすいと漢方では考えます。したがって温める薬が比較的多用されますが、年をとると代謝が落ちて体温が低下してくることを考えても、利にかなったものと言えます。


老化抑制遺伝子を実用化するには、多くの問題をクリアしなければなりませんが、漢方の知恵で健康寿命を延ばしたいものです。まだまだ寒い日が続きますが、”腎”を大切にお過ごし下さい。


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