将来の骨粗しょう症に備える

今日は、これから皆既月食が見られるようです。全国的に腫れの地域が多く時間も手ごろなため、たくさんの方が不思議な自然現象に思いを寄せることでしょう。月齢で15日、満月や新月の時は、月の引力との関係で体調に影響が出る人もいます。時々チェックして確認しますが、私は今まで月の周期で体調が変化する方を見たことがありません。そんな野暮なことは考えず、今日はロマンティックに月を眺めましょう。

先週、新潟市で行われた女性医学研究会。事務局の先生から招待されたこともあり喜んで出席しました。漢方相談の得意分野の一つは、いろいろな症状が現れる「不定愁訴」です。特に更年期の女性を悩ませている症状ですね。ですから、漢方薬と女性医学って関係が深く相性もいいんです。そんなこともあり、以前から興味があり昨年新潟に研究会が発足した時は、他の予定をやりくりして参加したのです。

今年もいくつかの講演や発表がありましたが、新潟市民病院産婦人科部長倉林工先生の講演が一番印象に残りました。女性は、更年期を過ぎるといろいろな病気の危険性が高くなります。高血圧や糖尿病などの生活習慣病もそうですし、骨粗鬆症も有名です。女性は男性と比べ、もともと骨が細いうえに閉経後のホルモン減少が骨量の低下に拍車をかけます。その流れがわかっているからこそ早めに予防に取り組むことが重要だと言われました。

今、健康寿命が注目を集めています。女性では12、3年が介護の世話になるとの調査結果があり、原因の一つとして骨粗鬆症による骨折があるので、骨粗鬆症対策は健康寿命の延長につながるのです。そこで、更年期での骨量が高いほど骨粗鬆症にはなりにくいので、まずは50代での骨量を高くすることが大切です。では50代の骨量はどうやって増やすかと言えば、それなりの薬もありますが、やはり10代、20代での骨量を如何に高くするかが重要なのです。そうです、健康寿命を延ばすには10代、20代での健康管理が大切なのです。もちろん、30代40代でも遅すぎることはありません。

骨折の原因は、転倒が多いので、ビタミンDの補給が転倒の危険性を下げるとの報告もありますから、骨量を増やすことと転倒予防を兼ねて40代以降はビタミンDの補給も有効かと思います。
こんな考え方は、骨折という病気を「どうして骨折したのだろう」という見方から「どうして骨折しない人がいるのだろう」との健康生成論の考え方につながります。
私たちは、通常「私だけは大丈夫!」とのバイアスがかかります。でも、残念ながら多くの方がこの道を通ります。20年前、30年前からの病気予防は、費用も含め継続には、それなりのモチベーションが必要かと思います。周囲の先輩の姿を見て、自分の将来の姿を想像してみてもいいのではないでしょうか。いずれ誰もがたどる道です。


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