不登校にもつながる起立性調節障害

今回の台風襲来は連休でよかったのかわかりませんが、西日本を中心に大きな被害を残して去りました。台風のようにある程度、規模が予想できる自然現象は予め備えができますが、地震や火山噴火のように予知の難しい災害は防ぎようがありません。でも、万が一のことを考え最低限の備えは必要だと思います。何もなければ無駄な出費なのかもしれません。・・・だから、何もしない・・・ってことはないですよね。健康対策も似たようなことかもしれません。

起立性調節障害・・・聞いたことはありますか?学校などで長時間立っているとバタンと倒れてしまうような友達が一人や二人はいると思います。低血圧症候群とでも呼びたくなるような症状が現れます。立ちくらみやめまいなどの他、朝起きにくく午前中の調子が上がらないなどもよく見られます。他にも、顔色が悪い、食欲不振、腹痛、倦怠感(けんたいかん)、頭痛、乗り物酔いしやすい、などの症状も見られます。こうなると、一人二人などではなく意外と多い印象ではないでしょうか。
実際、日本学校保健会の2010年に行った調査では、起立性調節障害の発症率は中学校(男子16.9%、女子25.6%)、高校生(男子21.7%、女子27.4%)と報告されています。

この病気は、知名度が低いので誤解されていることも多く、怠け病や仮病として扱われることもあり、この病気で苦しむ本人には2重の苦しみとなります。周囲の理解不足から、登校意欲が失せてしまい不登校につながってしまうケースもみられます。人は立ち上がる時に重力によって脳の血流が少なくなることを防ごうと血圧を上げます。この調節が上手くいかないのが起立性調節障害で、自律神経失調症の思春期版とも言えます。自律神経のスイッチの切り替えが上手くいかないので多彩な症状が出てくるわけです。

治療として、まず生活習慣の見直しが行なわれます。血圧を上げるなどの薬による治療よりも優先されるべきですよね。また、血圧を上げる生活習慣として食塩の摂取が推奨されることもありますが個人的には反対です。この頃の生活習慣は基本的に一生続きますから将来の生活習慣病を見据えると避けたいですね。
私のところでは漢方相談が中心になりますので漢方薬をお勧めしています。スイッチの切り替えやバランスの乱れといった機能性疾患(身体は悪いところがないのに調子が悪い状態)と漢方薬は相性が良いことが知られており、事実過去の相談例からも有効性を実感しています。ただ漢方薬を飲むからといっても生活習慣の是正は必要ですから(薬から卒業するために)、特に生活リズムの乱れは成長期・思春期の子どもには悪影響も多くあるため極力是正の方向ですすめます。(子どもさんから抵抗は受けますよね)

私の考え方は、「如何に薬に頼らないで症状を改善させるか」が基本にあり、そのため「今の症状を維持し長引かせる要因は何か?」「どうしたら薬から早く抜け出せるか?」を常に意識しています。決して薬を否定しているわけではありませんが、できるだけ少ない薬で解決できれば満足です。
最近、生活リズムと症状の関係を把握するためのツールを作りました。いろいろなツールを参考に、私なりに改良したものですが、このようなツールによって視覚化を促し「気づき」につなげたいと考えています。

繰り返しますが「起立性調節障害」は、怠け病でも仮病でもありません。また治療法がない病気でもありません(ただ、治るまで時間はかかりやすいと思います)。一番苦しんでいる本人の意欲を低下させないよう正しい理解を示していただきたいと思います。


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