昨日の医師向け学術講演会より。慈恵医大の循環器科、吉村教授が講師でした。
ランセットという医学雑誌にも掲載されたJIKEIーHEART研究について循環器科医の立場で解説をしていただいたのです。いろいろ話題になった研究ですから、何人かの先生の講演を聞いているのですが、狭心症の専門家という立場での話はいろいろと参考になりました。
この研究に使われたバルサルタンというARB薬(高血圧治療薬の種類)が狭心症の発作回数を減らす理由として、血管の内皮機能を改善するらしく、狭心症薬の効果が高まるというものです。
バルサルタンそのものには狭心症発作を抑える効果はないだろうけど、他の薬の効果を一層高めることで発作が減ることの理由として血管内皮機能の重要性を話されていました。
そして血管内皮機能を高めるには、運動や足浴などの温熱刺激が有効だということも話されていました。ここでピンと着ました。狭心症などに使われるカロガイハクハクシュトウという漢方薬があります。
この漢方薬にはラッキョウが入っているのですが、ラッキョウは心臓を温める効果があります。つまり温めることで心臓の周りにある冠血管の内皮機能を高めて、狭心症発作を抑える作用を持っているのかと。
私は薬草や漢方の講演でラッキョウの話題になると、「狭心症に使われています」と話すのです。ただ摂り過ぎないように注意しましょう。いくら身体に良くてもバランスが大切ですから。
救心や六神丸なども狭心症に使われますが、今回の話を聞くとジャコウがポイントかなと思います。温めて塞がりを開くのがジャコウの働きですから。
でも心筋炎や川崎病などでは、ジャコウよりゴオウやユウタンなどの冷やす生薬が必要ですから、状況により使い分ける必要がありますね。
これから寒くなりますから狭心症の発作も出やすくなります。内皮機能が低下して発作がおきやすくなるのでしょう。
くれぐれも身体を冷やさないよう、ご自愛下さい。
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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局
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