花粉症と健康生成論

ようやく当地長岡でも春らしさを実感できるようになってきました。この冬は雪が少なかったものの寒い日が多く、またいつまでも雪が舞う不思議な冬でしたね。

その冬が去ると春とともに花粉症の季節がやってきます。スギ花粉によるアレルギー反応ですから、その反応を抑える目的で抗ヒスタミン薬が用いられますが、薬局ではまだまだ古い第1世代の抗ヒスタミン薬がメインで、眠気や口の渇きなどの有名な副作用だけでなく、集中力や記憶力の低下など脳の活動全般が低下することが指摘され、医療の世界ではそのような脳機能低下(インペアードパフォーマンスの低下)が少ない第2世代の抗ヒスタミン薬が中心となっています。この辺りは私もジレンマを抱えるところで、副作用を考えるとやはり積極的に第2世代の抗ヒスタミン薬を勧めたいと考えています。

それはさておき、健康生成論とは病気や症状を進行させないために一般的な対症療法以外に何が役に立つのかを指します。例えば、同じようにスギ花粉に暴露(浴びている)しているのに、アレルギーを発症している人と発症しない人の差は何か?単純に体質としてしまうのではなく、生活習慣などを改善することでアレルギー発症を少なくできるのなら、副作用の少ない薬を開発するよりも国民の役に立つはずです。医療費も少なくすることができますし、患者が減ることは医師などの医療資源をより効率的に使うことができます。

私の講演には、最近この健康生成論を紹介して、1つでも2つでも薬を減らしてみませんか?と話しています。薬を減らすことを提案しても、私ら薬屋には何のメリットもないのですが、副作用で苦しむ人を減らすには何ができるかを考えると私はこの結論に達したわけです。

さて、アレルギーに対し健康生成に働く要因はなんでしょうか?よく言われるプロバイオティクス(整腸)は代表的なものでしょう。腸管は免疫細胞も多くアレルギーを抑制するには是非とも調子を整えたい臓器です。いろいろな製品(主にヨーグルト)がありますが、一つの種類にこだわらず多種類の細菌を摂取することが良いように思います。抗生物質や抗菌剤の使用によりアレルギーになりやすいことも指摘されてますので、腸内バランスはおろそかに考えることはできませんね。私のところでは、○○や○○といった製品を中心にしています。

また1月の研究会で仕入れた知識ですが、口腔衛生が腸内環境にも大きな影響を及ぼすことから、歯周病の予防対策が腸内環境を調えアレルギーの予防になる可能性があります。
腸内環境は食事の影響も大きく受けますが、食事を改善することでアトピー性皮膚炎の改善につながったケースなども学会で報告されてますから、食事の見直しもしてみてはいかがでしょうか?魚油に含まれるEPAなどの脂質がアレルギー反応を予防するとの基礎研究もありますし、和食がいいとの報告もあります。
バランスよく摂ることが基本ですが更に一歩進めてアレルギーにも良い機能を期待した食材を取り入れたらアレルギー症状も変わってくるかもしれません。1日2〜3回しかも毎日食べるものですから、それなりの効果はきたいできるでしょうね。 

自律神経系・免疫系(アレルギー系)・ホルモン系は互いに関連し合っていますから、自律神経を調えることやホルモンバランスを調えることも、花粉症の症状を和らげることでしょう。この時期は三寒四温と言われるように天候が目まぐるしく変化しますから、自律神経系のバランスが崩れやすい時期でもあるので注意が必要です。何もこんな時期に花粉を飛ばさなくても・・・と考えたくなる気持ちもわかります。生活リズムを規則正しくして自律神経の安定を図りたいものです。自律訓練法なども効果的と考えられますね。

自律神経系やホルモン系はストレスにも密接に影響を受けますから、対人コミュニケーションや物事の受け止め方(認知)を改善することも役に立つのではないでしょうか。アレルギーの改善や予防に、カウンセリングや心理療法が役立つとは、にわかに信じがたい部分もありますが、身体の神秘的なネットワークを考えると可能性は十分にあるのです。

健康生成論は、今現在の症状には即効性はありません。今ある症状には、抗ヒスタミン薬が中心ですが、鼻づまりには抗ヒスタミン薬は効果が不十分でロイコトリエン拮抗薬と言われる薬剤が使用されます。しかし薬局では販売できませんから、鼻づまりには点鼻薬を使っている人も多いのでしょう。でも点鼻薬の乱用による鼻づまりの悪化も珍しくありません、ご注意ください。私は、漢方薬を中心にすることで、眠気の副作用と鼻づまりの問題を解消しています。

対症療法的な病因論に対し、健康生成論は予防医学的な考え方です。薬を減らして副作用を減少させたり、患者を減らすことで医療費を抑制するだけでなく、健康寿命を延ばす点からも重要な考え方だと思っています。

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