スキンケアの常識が変わるか?

興奮冷めやらぬ・・・という表現がピッタリか。先週金曜日に加茂市まで行った甲斐があった。少し早めに薬局を閉めて電車で30分の会場。皮膚病相談に力を入れる私にとって、皮膚病関係の勉強会は他より優先され、積極的に情報を取りに行くつもりでいる。だから、ある程度の話なら知識として持っているけれど、今回は目からうろこ、ビックリの内容が多く、今後の相談やアドバイスがガラリと変わりそうである。

それは杏林大学皮膚科教授の塩原哲夫先生による「常識を見直そう:汗とスキンケア」と題した講演である。アトピー性皮膚炎や乾燥性湿疹だけでなく、美容面でも、保湿は重要なこととしてどこでも話がされている。けれど、正しい保湿の方法は?あるいは、今行っている方法が、正しいか正しくないかの区別は?こんな疑問を持つ方がおかしいのかもしれないが、見事にデータ化した研究者魂に拍手を送りたい。

わかりきったことだが、保湿剤の効果は製品によりかなり異なる。でも、どれも効能効果に保湿が表示してある。実際は似て非なりだ。個別の製品名は挙げられないが、やはり同じ努力をするなら薬剤師として効き目を優先させたい。その上で、きちんと効果が出せる使い方をアドバイスしなければ、製品の良さを十分引き出せないし、クライアントに無駄な努力と出費を強いることになる。ただ、薬局でそのまま行うと負担はかなりになると予想されるから、これをリーズナブルにしなければならない。ここは私の今後の課題である。

さて、アトピー性皮膚炎などの進行により、局所的に汗腺(汗を出す管)の数が減少してくるという。その分は、他の部位で増加するので、汗の出方が偏ってくる(例えば左右で異なるとか)。この状態なら、正しい保湿で崩れたバランスを回復させることができる。ただ、放っておけば、あるいは間違ったスキンケアをにより(実際はこのケースの方が多いかも・・・)、汗が極端に出にくくなる減汗という状態にまでなってしまうらしい。

汗が正常に出ているならば、角層の水分量も一定に保たれバリア機能も正常に機能する。赤ちゃんのみずみずしい肌には皮脂膜がほとんどないけれども、プルンプルンの肌であることから理解できるかと思う。ところが治療により汗の出方に悪影響を与える薬剤もある。どうやら、良かれと思っている治療法がスキンケアの視点からみると逆効果と言う。だから慢性化すると。
実際に、スキンケアを見直して効果的であった症例を提示いただいた。

アミロイド苔癬、結節性痒疹、類乾癬、扁平苔癬、アトピー性皮膚炎、蜂窩織炎、・・・など。どれも教科書的には基本的には完全に治ることなく(蜂窩織炎は別)慢性に経過するとされており、私もそのように説明している。しかし、スキンケアできれいになっているのだ。一般的に使用される強いステロイド軟膏を使用することなく!私は思った「常識を見直さなければ・・・」と。

薬局で行うには、コストも大切だから、目的にかなった効果的な製品と使用法を見つけなくては。肌水分計が欲しくなっている。

正しく汗をかく方法として、運動がお勧めである。また、アトピー性皮膚炎などで使用する漢方薬は、多くが保湿を目的として使っているから、漢方薬や食事も重要と考える。抗不安薬や痒み止めとして使用される抗ヒスタミン薬は逆に汗を止めるので注意が必要とも。慢性の皮膚病でお悩みの方は、一度スキンケアや汗のかき方に注目してみることをおすすめする。しかし、皮膚のことをきちんと知っている専門家のアドバイスが必要だから、セルフで行うことはお勧めできない。(現状は、発汗の視点からスキンケアをアドバイスできる専門家を探すことが大変かも・・・)

これからは、発汗と言う視点から、スキンケアを見直してみたい!



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