不眠症など、睡眠にまつわる問題

先週から今週にかけて、私が講師を務める催しが3つあり、準備も含めてバタバタした日々を送りました。その間に、エボラ出血熱が初上陸するかもしれないとのニュースが流れたり、何かと落ち着かない毎日を送った方も多かったのではないでしょうか。いずれ日本でもエボラ出血熱の第1号が出ることでしょう。過度に不安になることなく、逆に「自分だけは大丈夫!」とか「日本は大丈夫!」などの根拠のない安全バイアスに陥ることもなく、客観的に正しい情報を入れ冷静な判断と行動を心がけましょう。

世の中に「眠れないこと」で悩んでいる人はかなりいるようです。でも、最近の傾向では「不眠を過度に怖れる」不眠恐怖症や「不眠を気にし過ぎる」不眠神経症とも言えるようなケースが目立ってきているように感じます。「眠れない」と訴える一方で日中の眠気をほとんど感じないので、たぶん必要な睡眠は出来ているように思えるケースが目立つのです。10代20代ならいざ知らず、50代60代での必要睡眠時間は6時間程度と言われていますから、例えば午後10時に寝たら午前4時に目が覚めても問題はないのです。・・・・が、しかし、この時間も眠っていたいと考える人たちがいるのです。漢方薬や行動療法などの方法を用いても改善は難しいように感じます。睡眠に対する正しい知識を勉強していただき、不安や恐怖の根底にある何か(トラウマかもしれませんが)を共有してゆくことが大切かと思います。たぶん、言葉での説明だけでは誤った認識は正されないことでしょう。だから睡眠日誌が役に立つのです。

睡眠日誌は、毎日の簡単な記録ですが、その記録から、実際の睡眠時間(残念ながら睡眠の質までは把握できません)や不眠につながるような日ごろの活動や生活リズムなどの情報が得られます。グラフ化することで視覚的に理解しやすくなる利点があります。欠点は、面倒くさいことでしょうか。睡眠の質を把握するには、一晩入院して脳波などを測ってもらう必要がありますが、日中の眠気などである程度判断することは可能でしょう。

睡眠の質を悪くするものとして、悪夢があります。本年9月に行われた漢方治療研究会では、○○湯の服用で悪夢の頻度が減ったり無くなったりしたとの報告があり、興味深く聞きました。心理療法の?種であるゲシュタルト療法には「夢のワーク」があり、悪夢に利用できるだろうと考えていましたが、選択肢が増えたことは嬉しいことです。

寝つきが悪いことで睡眠導入剤(いわゆる眠剤)を飲んでいる方は非常に多くいますね。その多くはベンゾジアゼピん系の薬剤で、依存性や筋弛緩作用などの問題が指摘されています。最近はベンゾジアゼピん系以外の薬剤の種類が増えたので、少しずつ問題は解消されてきていますが、価格や即効性などのメリットは揺るぎませんね。
できれば、認知行動療法や睡眠日誌を利用して漢方薬を使いながら、極力使用量を減らしたいものです。30代40代で依存状態になっている人をみると悲しくなります。

一時的な不眠なら、薬局で購買できる睡眠改善薬があります。ただ、使用している薬剤は、抗ヒスタミン剤であり、睡眠の質を改善しないので、長期に続けるのはお勧めしません。寝酒も同様、睡眠の質を悪化させると言われてますので、眠剤代わりの飲酒は止めましょう。

痛みや痒みなどの身体症状があると、当然、睡眠の質は悪くなります。この問題にも睡眠日誌が役立ちますが、睡眠状態と身体症状や生活リズムなどを同時に記録できる用紙を最近作りました。ちょっと煩雑になったのですが、この用紙で、一括して睡眠にまつわる事柄を記入できるので有用性は高いと思います。実際に使用しながら改良を加えたいと考えています。

先週聞いた講演では、意外と睡眠時無呼吸症候群やムズムズ足症候群が多くあるようです。不眠神経症と言えるような人たちは、コミュニケーションが一番の薬になったりします。「眠れない」との表面的な訴えに振り回されずに、その根底にある問題を解決することが大切ですね。辛さを抱える本人を、どこまで共感的に理解できるかが治療者側に求められています。


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