夏バテと疲労

最近のテレビCMを見ていて気になることがあります。私の個人的な印象なら良いのですが、なんとなく”雑菌””汗””臭い”って単語が多いなぁと思っていたら、体臭=スメルハラスメント(スメハラ)なる言葉も番組内で使われていました。ここまで来ると、一億総神経症?って感じを受けています。日本人はいつから過剰とも思える無意味な清潔指向に取りつかれてしまったのでしょう?自然現象や生理的なものにまで手を加えて、どんな状態を目指すのでしょうか?・・・などとオジサンらしく気になっています。

夏になるとたっぷりと汗をかく私にとって日本が住みやすい国かどうかわかりませんが、連日の暑さで疲れ気味の生活を送っている方は多くいることでしょう。この時期の疲れを特に”夏バテ”と言っているようですね。疲れの原因は、まず摂取エネルギーの不足と消費エネルギーの過多を基本に考えることでいいでしょう。夏は暑さの影響で食欲が落ちますから自然と摂取エネルギーは減りやすくなります。また暑さのために水分の摂取量が増え、結果的に食事量が減ってくることも良くあります。食事量が減るために、炭水化物(糖質)やたんぱく質などをエナルギーに変えるビタミン・ミネラルなども併せて減ることでエネルギー効率(代謝)が悪くなることもあります。

消費エネルギーの過多は一般的にはオーバーワークです。しかし他にもあり、夏の暑さにより代謝が速まっている可能性も考えられるでしょう。私たちの身体は酸素を取り込み必要なエネルギーを作り出しています。車に例えれば、食事=ガソリンで、ガソリンを燃やしてエンジンを動かし排気ガスを捨てています。代謝が速いと言うことはエンジンが高回転になっているということで排気ガスの量も増えます。この排気ガス活性酸素フリーラジカル)と考えれば、最近の疲労の理論にピタッと当てはまるように感じます。

今までの疲労の考え方は、乳酸が体内にたまることが原因と考えられてきました。その考え方は誤りだと言われており、乳酸は疲労物質から疲労回復物質に評価が変化しています。現在、疲労の原因は活性酸素だと言われており、慢性疲労症候群活性酸素が強く関係すると言われています。夏の効代謝により活性酸素が大量に発生した結果”夏バテ”が起きたと考える方が自然でしょう。
ただ、ガソリン不足ではパワーが出ませんし、オーバーワークでもガス欠になりますから基本の考え方に変わりはありません。

疲労の原因物質が活性酸素に変わった現在、主たる対策はビタミン剤ではありません。もちろんビタミン剤やミネラルが必要な場合もあるでしょうが、ビタミン剤やミネラルが効果不十分な時には活性酸素対策を行うのが正しい疲労の対処法だと考えます。
また、夏の高代謝回転には身体の熱を冷やす食材(キュウリ・ナス・トマト・スイカなど)や冷やす漢方薬(石膏剤や黄連剤など)を使うのが効果的でしょう。

さて、肝腎の活性酸素対策としては、天然の新鮮な野菜や果物があります。夏が旬の野菜は、熱を冷まし活性酸素を消し、夏バテを防ぐ優れた食品だと言うことがわかります。これらの普段の食材でも消しきれない時には漢方薬などの出番となりますよね。もちろん、ビタミンCやビタミンEにも活性酸素消去作用はあるものの、活性酸素にも数種類ありますから多成分の漢方薬に軍配が上がると思います。

夏バテになると大樹が減ることも珍しくありませんが、極端な体重減少の場合は悪性腫瘍の可能性も忘れないようにしなくてはなりません。
今私は、夏バテ・疲労慢性疲労症候群活性酸素をキーワードとして捉えています。でも相変わらず、乳酸を疲労物質として扱っている健康番組を見ると、その番組は以後、眉に唾をつけて見るようにしています。



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