肩こりと筋膜

来月は、4日の漢方治療研究会を皮切りに学会研究会などが毎週連続であります。充実していると言えば確かにそうですが、見事に埋まったなぁと感じています。秋雨前線と台風で荒れた9月に変わり10月は穏やかになることを願っています。例年過ごしやすい10月ですから、スポーツの秋、読書の秋、芸術の秋、行楽の秋、食欲の秋、・・・など、何をするにもふさわしい時期ですね。さて、あなたは何をして過ごされるのでしょうか?

私は以前から『痛み』に関しては薬だけでは何ともならないものがあると感じていました。ここで言う『痛み』は整形外科的な疼痛性疾患のことであり、ガン性疼痛やアロデニアなど内科系疾患によるものではありません。一般的な『肩こり・腰痛・関節痛・筋肉痛・・・』などのことですね。通常はNSAID(非ステロイド性鎮痛薬)などの痛み止めや湿布・パップ剤などを用いて対処していると思います。たぶん、急性の痛み(例えば、ぎっくり腰や運動後の筋肉痛、ねん挫などの外傷によるもの・・・)であれば、傷ついた関節や筋肉が回復するにつれて痛みも治まってきます。

最近は、慢性の痛みに対しては急性痛とは違ったメカニズムにより心理的な痛みも加わった病態であることが言われ、心理的なアプローチ(抗うつ薬抗不安薬などの薬物、認知行動療法などの心理療法)を併せて行うことが効果的だとわかってきて色々なところで実施されていることと思います。ただ、忙しい整形外科の現場では心理療法は時間がかかるために、積極的に行っている施設は少ないと思いますが。

そして、慢性痛の一部には神経そのものが変性した神経障害性疼痛という状態もあります。帯状疱疹の後に残る帯状疱疹後神経痛(PHN)が代表的な疾患でしょうか。この帯状疱疹後神経痛にも新たな薬剤が使用され一定の効果を上げています。

新たな治療法が加わり、痛みの治療法は相当な進歩を遂げていますが、残念ながら未だ解決されない痛みもありますし、おそらく薬で解決することの限界も近づいているように思うのです。だから、整形外科の治療に満足できずに、鍼灸院・整骨院や整体・カイロプラティック・各種マッサージ・・・などの施設に通う方が多くいますし、またドクターショッピングならぬ治療院ショッピングも珍しくありません。

10年くらい前に『痛みと筋膜の関係』について記載された文章を読んだことがあります。その頃から頭の片隅には必ず『筋膜』がありました。ただ、私の相談で、どのように活用したらいいか(時々調べてはいたのですが、中途半端な調べ方で・・・)方向性が決まっていなかったのです。ところが、先週あたりの「ためしてガッテン」でこの筋膜に対する治療により長年の頑固な肩こりが改善する映像を見て、ようやく納得がいきました。慢性の痛みが全て筋膜で解決できるとは思いませんが、今まで苦しんでいた痛みを改善する糸口になると思っています。

1年ほど前から、肩こりに対して肩・首・腕などの上半身の筋肉のストレッチ(動的・静的)を行いながら筋肉をほぐす作用のある筋肉ビタミンを飲んでもらうようにしています。筋膜の癒着が軽度なら、この方法で効果があるように実感しています。ただ、TVで紹介されたような肩こりなどでは、まだ不充分でしょうね。ただ、筋膜の成分がコラーゲンであること、漢方薬で肩こり・首こり・背中凝りなどが偶然も含めて改善したケースを考察すると、オケツに対する漢方薬が効果的であるらしいと言えます。

それでも「漢方薬だけで解決するか?」と問われれば答えはノーです。漢方薬に加えて筋膜リリースやストレッチを併せて行うことが重要なのでしょうね。筋膜リリースやストレッチを組み合わせることで早期回復ができ、尚且つ漢方薬を中止することもでき、再発防止にもつながると考えています。私のこのような考え方は薬局経営からするとマイナスで先日も友人の薬剤師から指摘されました。でも、何とかこのような取り組み方で経営したいなぁと考えています(現実は非常に厳しいのですが・・・)。

私がストレッチをアドバイスに加えだしたのは、小学生ってほとんど肩こりが無いのに、成長に従って肩こりが増えてくるのは何故?との疑問に対して、筋肉を動かす機会が減少するに従って肩こりが増えていることに気づいたからです。特に肩周辺には解剖的に多数の筋肉がつながっており、これらを万遍なくほぐすにはラジオ体操が一番効果的と考えます。ただ、ラジオ体操のテンポは充分ほぐすには早すぎますので、自分に合ったペースを探してみてください。この年にして、ラジオ体操を見直しています。


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