アニサキスに〇〇丸?

11月も中旬に入り、行楽シーズンの秋・食欲の秋から忘年会へとスケジュールが変わるころでしょうか。何にしても『食』は私たちの大きな楽しみの一つです。でも、バランスの欠けた食事や暴飲暴食などで体調を壊すこともあり、生活習慣病の多くは食事が原因になりますので、節度を持って楽しみたいと思います。古代中国では、病気を治す医師(疾医)よりも飲食で身体作りをする管理栄養士的な医師(食医)の方が位が上でしたから、飲食を如何に真剣に考えていたかわかります。ご馳走を前にして、少しでも今回の内容を思い出してもらえたら幸いです。

今月の医療系雑誌の記事ネタです。日本人の好きな食べ物に刺し身や寿司がありますが、これらを食べてアニサキス症を発症することがあります。アニサキス症とは、アニサキスと言う線虫の幼虫が寄生した魚介類を食べた時に発症する可能性があり、ひどい時は強い腹痛や吐き気・嘔吐を起こすとされます。この時に胃カメラなどで覗くと胃や腸の内壁に潜り込もうとしているアニサキスを確認できるそうで、胃カメラにセットされた鉗子で取り出すのが一般的に行われている治療法です。

このアニサキスに対する治療薬は無いと思っていたのですが、5年前の専門誌に市販薬でアニサキス症の腹痛が治まったとの報告が載ったとのことです。私は、刺し身を食べる時は「もしアニサキス症になったら胃カメラだなぁ……」などと思いながら食べていたので、今回の記事を見た時には知らなかった自分に対する悔しさ・恥ずかしさと驚きの混じった複雑な気持ちでした。

その市販薬は、木クレオソートを主成分とする〇〇丸で、下痢や食あたりを効能とするお馴染みの製品です。個人的に、木クレオソートと発がんの可能性が気になるため当薬局では推奨しない製品ですし、安易な下痢止めの使用は食中毒を悪化させることもあり常備薬とすることも賛成できません。それでも敢えて紹介するのは、下痢や嘔吐などの排泄反応が無く腹痛のみで刺し身などを食べた後でアニサキスの可能性が極めて高いと判断されるときは、この〇〇丸を試しても良いと考えるからです。もちろん医師以外の者が診断などできませんが、多くの医薬品の中から適切な医薬品を絞り込み提案することは、副作用予防の観点からも重要なことです。
(この「〇〇丸」の名称は、当薬局がネット販売をしていませんので残念ながら公表できません)

さて、このアニサキスは生食の時だけでなく塩漬けや酢漬けの状態でも充分感染するそうで、頻度の高さからシメ鯖などにも注意が必要です。一般的な食中毒と同様に充分な加熱で予防できるとのことですから、怪しいと思った場合は加熱調理が安全ですね。旅行にしろ忘年会にしろ美味しい魚介類を食べる機会が増えてくると思いますが、せっかくの食事を辛い思い出にしないためにも加熱する場合は充分に、生食する場合はできるだけ新鮮なものを召し上がってください。



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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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