レディ・ガガさん、線維筋痛症に

 台風と北朝鮮のミサイル、しばらくは空の動きから目が離せません。この連休に行楽の予定を立てていた方も多いと思いますが、天気予報やニュースから最新の情報を確認し、事故などの無いように気をつけて頂きたいものです。特に登山を計画されている方は、標高の高い山では雪やみぞれの化膿性もありますので、装備に充分な準備をして無事に戻ってきてください。

 さて、米国の人気女性歌手レディー・ガガさんが、全身の筋肉に強い痛みやこわばりが出る「線維筋痛症」に苦しんでいると公表しました。線維筋痛症は、原因不明の病気で、その痛みから自殺する方もいます。通常の鎮痛剤ではほとんど効果がないことから脳など痛みを認知する部分のトラブルと考えられています。米国リウマチ学会の診断基準が用いられるように日本でもリウマチや膠原病を専門とする医師が中心に治療をしています。また、線維筋痛症だけでなく多くの慢性痛には、気分の変化(うつ状態など)や物事をネガティブにとらえる傾向が認められることから、痛みの悪循環を断つ観点から心療内科医による心身医学的治療も行われています。

 私は、東洋医学漢方薬)と心身医学を中心に研究しているので、どちらの立場に立っても身体の症状と心のあり方を切り離して考えることはしていません。生物学的に身体の側面から治療しても十分満足できる治療効果が得られないことが、線維筋痛症を難病に位置付けている理由です。ですから、身体面からのアプローチに加え、心理面からのアプローチが併せて必要だと考えます。事実、心療内科学会では認知行動療法交流分析自律訓練法などの心理療法を通常の治療に加えることで効果的であったとの報告があります。

 心理療法により痛みの憎悪や悪化につながる考え方(破局化思考など)を修正したり弱めたりいすることで悪循環を断ち、痛み以外の感覚に気づきを得やすくなり、その結果として痛みに振り回されていた生活が変化してくるのです。言葉で言うのは簡単でも、実際に線維筋痛症の痛みと闘っている方にとって、容易でないことは十分承知しています。ただ、「痛みと闘う」「痛みに負けてはいけない」などと考えることが悪循環から抜け出しにくくしていることに気がつくと視界が開けるのではないでしょうか。そんな良き伴走者となる医療者に巡り合えることを願っています。

 東洋医学の観方では、痛みの原因としての「冷え」「気や血の巡り」「血虚」「水滞」などが背景にあるのではないかと考えます。その背景因子は同じ線維筋痛症でも患者さん一人一人異なっているので(体質が異なるので)、それぞれに異なった漢方薬を使用するのが正しい方法と言えます。電話相談で「○○病に効く漢方薬は何ですか?」と言う質問を時々受けますが、その方の背景因子を知らないと答えられないのです。

 線維筋痛症は確かに難病ですが、東洋医学の視点や心身医学の視点を加えれば、より満足度の高い生活が送れるようになると私は信じています。日本にも約200万人の線維筋痛症患者さんがいるとのこと。すべての患者さんが良き伴走者と巡り合えることを願います。


レディ・ガガさん、線維筋痛症
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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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