人工涙液で緑内障?

当薬局の近くを流れる用水路”福島江”沿いの桜が咲きだしました。1〜2分咲きですが、今週末あたりは身頃になるのではないでしょうか。


以前お客さんから相談された内容で解らなかったことがあります。人工涙液の製品の添付文書に「緑内障の人は医師薬剤師に相談の上使用のこと」という趣旨でした。人工涙液とは涙に近い組成の目薬で、塩化ナトリウム・塩化カリウムなどを含み、簡単に言えば海水を薄めたものと考えてください。


緑内障は抗コリン作用を持つ多くの薬剤で悪化しますが、塩化ナトリウムや塩化カリウムに眼圧を上げる作用があるなんて聞いたことがありません。仲間の薬剤師(病院や卸に勤務する連中も含めて)聞いてみましたが、誰もわかりません。


卸を通してメーカーに聞いてもらったところ、厚生労働省の指導で記載しているとのこと。理由は過去この種の目薬で眼圧上昇の例があったことから、現在は全ての市販の目薬には記載しているとのこと。したがって海水を薄めた内容でも緑内障に注意するのだそうです。


我々薬剤師は薬のリスク管理が仕事ですから、厚生労働省の立場も理解できます。でもあの内容成分で緑内障に注意しなくてはいけないのなら、海水でもプールでも緑内障の人は目を開けて泳ぐと危ないとか、顔を洗うとき水が目に入らないようにとか、になるでしょう。


花粉症のシーズンですが、目を洗うアイボンという商品だって、緑内障の人は注意しなくてはなりません。で、我々薬剤師は「緑内障ですがどうしましょう」と言われたら、医師の診察を受けるように指導するでしょうね。


なんとなく解せない気持ちなのですが、ひょっとしたら目薬を差すことによる反射反応で眼圧が上るのかもしれません。
このあたりは眼科医に確認してみようと思います。


とにかく緑内障の人は注意しましょうと言うことなのですが、問題があります。基本的に注意が必要な緑内障の人は治療を受けていない緑内障の人=診断されていない隠れ緑内障患者なので、危ない人は本人にもわからないということです。なんか厚生労働省の責任逃れのような指導ですね。


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