秋葉原の無差別大量殺人事件に思う

昨日は日本薬剤師会の薬局製剤漢方委員会に行って来ました。薬局製剤も漢方薬も薬局で製造販売業の許可を取れば作れるのですが、年々申請薬局は減少しています。自分で作った薬でお客さんの病気が回復すると、薬剤師冥利に尽きるのですけれど私の周りは調剤にしか感心が無い人が多く残念ですね。薬局製剤も漢方薬も特別な薬ではなく、むしろ安全性の高い成分でできた単純な薬です。このような薬を使いこなす技術もなくなってゆくのでしょうか?


秋葉原事件の加藤被告の裁判が始まりました。加藤被告の被害者に対する謝罪の気持ちを私は感じました。でも亡くなった被害者が生き返ることはありませんし、被害者の家族や知人また加藤被告の家族に与えた影響も大きいものがあります。大なり小なり心に傷を負っているでしょう。大きなトラブルにならないことを願うばかりです。


さて加藤被告は、現実社会でもネット社会でも孤立したことが事件を計画した理由だと述べています。私はここに注目しています。人という文字は、ちょうど支え合うような形をしています。ですからお互いに持ちつ持たれつが大切だと、誰か(漢字学者だったかも知れません)が言ってました。


精神分析の口語版といわれる交流分析を今勉強していますが、自分と他人とのやり取りを交流分析ではストロークと言い、このストロークの不足は心のトラブルの原因になると記されています。加藤被告が事件を起こす前は、社会的に孤立しているようでした。


彼が唯一存在を認められていたネットの世界でも孤立してしまい、結局孤独感に耐えられず事件を起こしたのでしょう。ここで何も事件を起こさなくてもとあなたは考えるかも知れません。


ストロークの理論によれば、ストロークには”プラスのストローク”と”マイナスのストローク”があります。プラスのストロークとは誉められたりする嬉しい気持ちになるようなやり取りですし、マイナスのストロークとは怒られたり懲罰されるようなやり取りです。


人はプラスのストロークで、感情的な安定を図ることが出来ますし子どもであれば人格形成にも大きな影響を与えることでしょう。プラスばかりでは刺激がマンネリ化しますから時にはマイナスのストロークも必要と思いますが・・・。


ここで重要なことは、人はプラスのストロークが得られない場合にストロークがないことよりもマイナスのストロークを求めるというものです。”ストロークがない=無視・孤立・孤独”よりも”マイナスのストローク=犯罪による懲罰”を加藤被告は選んだと考えられます。


事件や犯罪にまで至らなくても、あなたの周りでも似たようなことがなかったでしょうか。あなたはひょっとしたら経験者かもしれません。その時どのような気持ちだったでしょう。子どもがイタズラを繰り返す時、怒られると知っててマイナスのストロークを求めるような心境になっているのかもしれません。


”無視をする””しかとする””村八分”、表現は違えど相手に与える心のダメージは相当大きいはずです。私が昨年小学校で薬物乱用防止教育の前にとった事前アンケートでも、約半数の児童が無視された経験を持っていました。


加藤被告と同じような境遇の人がすべて事件を起こすわけではありませんが、事件の芽は身近なところにありどこでも秋葉原のようになる可能性があると思っています。心の交流、忘れないようにしたいものです。

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