喘息のコントロール

昨日は日本薬剤師会の薬局製剤漢方委員会に出席したため、ブログを休みました。楽しみにしていた方申し訳ありません。暖かいと思ってコートを着ないで行ったら寒かったですね。今日の長岡は時折雪もちらつき、まだ春と言うにはちと早いですね。


一昨日の学術講演会は『喘息治療の実際ー診断から最新の治療までー』と題し京都大学大学院医学研究か呼吸器内科学准教授新実彰男先生による特別講演でした。


昨年10月、喘息予防管理ガイドライン(JGL)の最新版JGL2009が発表され、発作症状を速やかに改善する気管支拡張薬と喘息の本体である気管支の炎症を鎮める吸入ステロイドの位置づけやこれらの混合薬の使い方などを説明いただきました。


最新版では、より炎症治療に重点が置かれステップ1から少量ながら吸入ステロイドを使用するよう推奨され、ステップ2からは吸入ステロイドは基本使用薬とされています。それだけ炎症の管理をきちんとしないと重症化しやすくコントロールを良好に保つことが難しいとの考えに基づくのです。


さて、喘息治療の目標となるコントロール良好状態とは、喘息症状がなく発作治療薬も使用しないで、運動を吹くも日常生活上の活動に支障がないなどです。つまり基本治療薬としての吸入ステロイドは使っているものの喘息発作がまったくない状態が、コントロール良好となります。


週1回以上喘息症状があったり症状の悪化が年1回以上あればコントロール不十分となり、症状の悪化が月1回以上あればコントロール不良とされています。


コントロール状態が悪ければ、当然ですが治療は強化されます。コントロール不十分であれば治療ステップを1段階、コントロール不良であれば治療ステップを2段階上げて、コントロールの良好状態を目指します。


炎症が重視されるのは、喘息の症状である呼吸困難や喘鳴の原因となる、気管支狭窄や気管支粘膜のリモデリング(肥厚)や気管支過敏性が炎症により引き起こされるからです。したがって根本から治すには炎症を抑えるのが一番効果的だとの考えで、実際に吸入ステロイドによる治療が始まってから喘息による死亡は減少しているのです。


その後の懇親会で、喘息憎悪因子としてのストレスとの関係を聞いてみました。一般的にストレスを受けると交感神経が活発に働くので気管支は拡がります。気管支が狭くなるのが喘息なのに何故と言う疑問が今までわからず新実先生に聞いたのですが、残念ながら明確な答えは得られませんでした。どうやら交感神経以外の要素の働きで気管支が狭くなるようです。まだまだ複雑ですね。


でも日本心療内科学会の前理事長吾郷先生は、ストレス性の喘息の治療が大変上手いと聞きます。おそらくストレス管理を上手く取り入れたなら、コントロール不十分なケースやコントロール不良なケースでも、治療ステップを新ガイドラインほど強化しなくても大丈夫なのでしょうね。漢方相談を中心とする私もストレス対策は更に強化したい分野です。

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