しつこい咳の対処法

長岡でも本格的に雪が降ってきました。さすがに根雪になるのでしょうね・・・。しばらく、冬将軍とのお付き合いが続きそうです。

さて、寒くなると流行するのが、風邪やインフルエンザなどです。インフルエンザに関しては、抗ウィルス薬の登場で、相談スタイルの薬局の出番は少なくなりました。一般の風症候群は、ドラッグストアで手軽に安く済ます傾向に感じます。相談にこだわるスタイルの薬局に来るのは、「咳だけ残った」「風邪の後、だるさや微熱がとれない」「なかなか咳が止まらない」などが中心でしょうか?

さて、漢方の古典『素問』に「咳は、すべての臓器の病気と関係がある。肺など呼吸器系の病気だけではない(意訳)」と記載されています。医師向けのセミナーや学会などに参加して最近の情報をまとめると、この記載が的を得ていることに気づきます。そうです、長引いた咳では、他臓器の状態も考慮する必要があります。幸い、漢方を勉強しているおかげで、この視点は大いに身に付きました。

まず、しつこい咳で考えるのは、咳喘息とアトピー咳嗽です。これは専門の呼吸器科医でも症状だけでは区別がつかないそうですが、使う薬が違うので現実的には、咳喘息の薬で治ったら咳喘息とされています。ただ、アトピー咳嗽に比べ、咳喘息のほうが割合が多いということ、咳喘息の何割かは本物の喘息になること、を考えると、咳喘息を先に疑ってみることが重要なようです。咳喘息の薬でよくなったら、喘息にならないように注意する(喘息の正体は慢性炎症との考えから炎症を悪化させない生活)だけでなく、ステロイド吸入が推奨されているようです。個人的には、咳が治った後にもステロイド吸入薬との考えには、賛同しにくいのですが・・・。ただ、喘息への移行を抑えるための対策は必要でしょうね。柴胡剤や桂枝湯類が有効でしょうね。またサプリも気道に相性が良ければ使えることでしょう。

また、よく聞くのが「One Airway One Disease」。鼻の病気も肺の病気も同じ気道の病気として治療しましょう、と言うことです。例えば、喘息の治療だけでなくアレルギー性鼻炎も一緒に治療すると治りやすいですよ、と。長引いた咳にも、この考えは使えます。鼻炎や副鼻腔炎が、咳の原因になっていることが少なくないそうで、鼻の病気を確認することも重要ですね。

それに心臓喘息などというように、心不全などの病気で咳が出ることもありますが、意外と多くありそうなのが逆流性食道炎です。自覚してない人も少なくないようで、この治療で胃酸を抑える薬を使うと咳が止まることがあります。漢方薬では、瀉心湯類の出番でしょう。
あ、心臓喘息には、モクボウイ湯や人参湯などを使いますし、牛黄も効果的ですよね。

先日は、ストレスが関係するような咳の方を、治してあげました。半夏厚朴湯と香蘇散をリレーで使いましたが、冷えがあったので人参湯も効果的な方でした。このように振り返ると、咳には、いろいろな見方が存在することがわかりますよね。

でも、大げさではありませんが、咳の8割くらいは漢方薬で治るんじゃないかと思います。また、それくらいでないと漢方薬を勉強している意味がないようにも感じますが・・・。
明日は、漢方の勉強会「三考塾」に行ってきます。


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