カビ・細菌・ウィルスと皮膚

先週は、土曜日に薬剤師仲間との皮膚病勉強会、翌日曜日は東京での漢方勉強会、それぞれの講師役だったために資料作りに忙殺された毎日でした。皮膚病は500ページ以上の教科書を1年かけて解説する役の最終回でしたし、漢方は原典と漢字辞典を調べる難解な作業で無事に終わりホッとしています。これからしばらくは薬局業に専念できそうです。

さて、皮膚病の治療で大きな役目を果たすステロイド軟膏。6〜8割の皮膚病に対して使われる重要な薬ですが、慢性的に使用すると免疫抑制作用が裏目に出て皮膚感染症にかかりやすくなります。加えてステロイドを含めて免疫抑制剤は、膠原病はじめ各種の慢性的な難病に対しても使用されており、その結果かハッキリしませんが皮膚感染症は増加しているとの報告があります。

皮膚という二次元の平面に映し出される病像は、赤く盛り上がることが多いのでステロイドがよく効きます。しかし、カビや細菌やウィルスでも同様の変化を起こしますし、厄介なことにこれらの感染症ステロイド軟こうを使いますと一時的に軽快しても逆効果で悪化するのです。

だから、その区別をするために500以上ものページを使って特徴を頭に入れる必要があるわけです。あまりよく知らなくても6〜8割はステロイドを使えば改善しますから安易に使われている感がありますが、でも慎重に使わないと副作用などで逆襲される可能性もあります。我々薬剤師も一生懸命勉強して知識を叩き込む必要があるわけですね。

皮膚病を見たら、最低でも拡がりや分布の様子を確認します。そして平面でなく立体の三次元構造を浮かべなくてはなりませんし、時間と共に変化する時間軸を入れた四次元で理解することが大切なのです。これができて初めてまともな皮膚病相談が行えると思います。

カビやウィルスに比べ細菌は拡大スピードが速いので、間違えて(あるいは知らずに)ステロイド軟こうを使うとあっという間に広がる可能性があります。特に人食いバクテリアの場合は文字通り命取りになることさえあるわけです。ですから安易なステロイド軟こうの使用は注意しましょう。
ただ、確認さえできればステロイド軟こうほど確実に効果を上げるものは多くありませんから、適切に使えば劇的効果が期待できます。

暖かくなり肌を露出する機会が増えるこれからの時期は皮膚病が増えます。虫による皮膚病も増えますし接触性の皮膚炎もあります。不用意な肌の露出は皮膚病の原因になりますからご注意ください。


漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局
http://www3.ocn.ne.jp/~hirohasi/

過去のブログの主なものはホームページにリンクを貼ってありますから、見たい記事がありましたら《ひろはし薬局のホームページ→過去のブログ》から探してみてください。(現在の更新はしてませんが・・・)
  あるいは⇒http://www3.ocn.ne.jp/~hirohasi/sub6.htm

メールは《Re:タイトル》でお願いします。メールマガジンの申込も随時受付中
     ⇒hirohash@seagreen.ocn.ne.jp

講演の依頼に関しては、ホームページに掲載してある講演内容を参考にして、お申込下さい