お盆と台風が重なり、列島はちょっとしたパニック状態です。ここ最近の天候は極端なケースが目立ち、移動される方あるいは台風のコースにいられる方は被害に合わないようご注意ください。そういえば、甲子園の開会式さえも延期になったとか。やはり自然を侮ることはできませんね。
さて、一昨日参加した中越地区消化器病研究会。湘南東部総合病院院長、市田隆文先生による「肝細胞がんの治療コンセプト〜予防から肝移植・分子標的治療まで〜」でした。
肝臓がんの原因の大半はB型C型ウィルスによるものですが、インターフェロンに始まり抗ウィルス薬の登場と組み合わせによりウィルス性肝炎を9割程度治療できる時代になりました。これはこれで、とても素晴らしいことだと思います。でも、治療によりウィルスが消えても肝臓がんの発生リスクがゼロになったわけではないので、しばらくの間は経過を見守る必要があります。ですから、ウィルスが消えた、アルコールをたっぷり飲もう!ということは慎まなければなりません。当分の間、肝炎の痕がくすぶっていると考えてください。
肝臓がんの発生率は、健康な人を1とするとB型慢性肝炎で380倍、C型慢性肝炎で1000倍、肝硬変となると4700倍だそうです。やはり、ウィルスが消えても気を引き締めることが重要ですね。そして最近は、アルコール性肝炎や脂肪肝による肝炎の増加が危惧されています。生活習慣と密接に関係するので、日ごろの生活を見直してみましょう。
治るようになってきたウィルス肝炎ですが、問題は医療費ですね。聞き間違いではないと思うのですが、ウィルスを消すのに必要な薬代は約800万円だそうです。腎臓透析では年間で500万円くらいですから、限りある医療費を大切に使わなくてはなりませんね。肝臓がんになれば、それはそれで別に医療費が発生するわけです。
その肝癌ですが、他の消化器系のガンと比べ初期の段階でも生存率が1/2〜3とかなり低いのです。(95%に対し40%ですから)
市田先生は、キーワードとして肝臓の線維化を挙げていました。線維化の原因は、炎症であり酸化ストレスでしょう。線維化が拡がった状態が肝硬変で、肝癌の発生率が4700倍となるわけですから、やはり線維化を喰い止めなくてはなりません。この線維化を防止できる薬剤はまだないとのことですが、東洋医学会などでの報告では漢方薬で肝臓がんの予防効果が報告されています。
炎症を抑える清熱剤や滞りを改善する疏肝剤が用いられます。肝炎治療中でも、肝臓のダメージをできるだけ少なくするために、受けたダメージを速やかに回復するために、漢方薬を使うというのはいかがでしょう。ただ、インターフェロンなどと相性の悪い漢方薬もありますから専門家に相談を受けて行うと良いでしょう。
健康生成論的に視れば、炎症や酸化ストレスは、多くの病気の上流に位置します。またアルコールや食事・運動のあり方で、アルコール性肝炎や脂肪肝炎になり、しかも炎症や酸化ストレスよりも上流に位置する食事・アルコール・運動などの生活習慣の是正は必要でしょう。
かと言って、食事は生活の楽しみでもあり、あまり厳しくするのも逆にストレスとなりますから、ほどほどに!
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