改めて、ガン予防を考える

確か先々週でしたか、小林麻央さんの乳がんのニュースには多くの方がビックリしたことと思います。まずガンという病気にビックリ、そして若い彼女がガンに罹ったことにビックリ、ではないでしょうか。ガンの治療法がいくら進歩しても《ガン》という言葉の響きはショッキングなものです。そして、毎年約2万人もの20代30代の若い人が、ガンを発症しているという現実にも驚きです。ガンという病気は、中年期以降の病気でもなく、小林麻央さんが特別に運が悪かったわけでもなく、誰にでも起こりうる病気だと認識させられました。小林麻央さん始め、現在ガンと戦っているサバイバーの皆さんの回復を願います。

昨日、中越C型肝炎ミーティングに参加し、福井大学第二内科教授・中本安成先生の講演を聞いてきました。肝炎ウイルスに対する治療は、ここ数年で飛躍的に進歩した感があります。C型肝炎はほぼ100%完治が望める疾患になったと言える状況でしょう。現在の肝臓がんの原因の大部分がC型肝炎に由来することを考えれば、今後の肝臓がんの原因は脂肪肝炎とアルコール性肝炎が中心になると言えましょう。
ただ、本当にウィルス性肝炎からの肝臓がんがゼロになるのかは今現在ハッキリしていませんから、今後の研究結果を待ちたいものです。

講演の中で中本先生は、自身の免疫療法の研究に触れ、線維化の進んだ肝臓は高度にがん化しやすいので樹状細胞を使った肝臓がん予防の可能性を話されました。一般に早期がんは10〜20年かけて大きさ1cm程度のがん細胞の塊になります。中本先生は、この早期がんの段階で治療しても数年後には肝臓の別の部位に早期がんができることから、早期がんになる前のガン細胞の段階で働きかける免疫療法に注目して研究しています。実際にそれなりの成果も上がっているようで、この話を聞いた時に漢方薬によるがんの予防にピンと来ました。

もう10〜15年も前の研究だったと思うので記憶も一部あいまいですが、ウィルス性肝炎の患者さんが漢方薬を飲んでいるとガンになりにくいとの趣旨だったと思います。肝臓がガンになるには、ウィルスにより肝細胞が炎症を起こし細胞のダメージからガン化します。そして、この炎症を漢方薬が抑えることで肝臓のガン化が進まなかったのだといわれています。私はこの他に、漢方薬の生体調節作用すなわち抗酸化作用であったり免疫賦活作用なども、ガン化の抑制に関係していると考えています。

肝細胞の炎症という点では、脂肪肝もアルコール性肝炎も同様に炎症を起こしてますから、ウィルス性肝炎と同様に炎症の持続が肝臓がんにつながって来るわけです。現在、脂肪肝は増加してますし、若い人でも、やせた人でも、女性でも、脂肪肝になっていることから、肝臓がんの予防には炎症対策がカギになります。免疫系の賦活を考えれば漢方薬をファーストチョイスにしても不思議ではありません。

この時に大切なことは、《漢方薬はどれがいいか》ではなく《一人一人に適切な漢方薬を選ばなければ意味がない》ということ。なぜなら、体内の炎症を抑え免疫系を賦活するベストコンディションは一人一人違うからです。ここを無視して、一律に○○湯とすればベストコンディションどころか逆に調子を崩すことも充分あり得るのです。「漢方薬は専門家に」という理由はここにあります。

さて、このことは肝臓がんに限りません。乳がん然り、胃がん然り、肺がん然り、大腸がん然り、・・・です。誰しも、毎日数千個ものがん細胞が生まれているといいます。しかし、10年後20年後にガンを発症する人とガンを発症しない人の違いは何でしょう?炎症・酸化・糖化という細胞を変性させる刺激への対処法や免疫システムを乱す生活などの違いが大きく関係しているのではないでしょうか。私が常々述べている《健康生成論》の立場から、日頃の生活を見直してみることが大切だと考えます。



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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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