サラサラ鼻水は呼吸器の冷えサイン

先週(先々週?)の台風が去ってから気温が一気に低下しました。これから風邪・インフルエンザなどの本格的シーズンです。原因がウィルスだとわかっていても、罹りやすい要因がありますよね。湯冷めしたとか、仕事での無理が続いたり、飲食の不摂生がたたったり、無理に薄着で過ごしたり、・・・。体調を崩した時は、自分の生活を振り返る良いチャンスととらえましょう。
その上で、前回のブログに頂いたコメントのように、私たちは基本的に現状を変えることが嫌いです。変えるには変えるなりの理由が必要ですから、明確な目標なり自分の将来のありたい姿を想像してみましょう。そして、できることから(あるいは、できそうなことから)始めることを行動療法ではアドバイスします。動機づけに関しては、近年「動機づけ面接法(MI)」という技術が注目され、ベーシックな行動療法と組み合わせると効果的だろうと考え、現在勉強中です。
人は、「自分だけは大丈夫」という正常化バイアスも働き、現状の変化を好みません。あとは将来のなりたくない姿をイメージしながら変化に対する抵抗との駆け引きが行われます。この変化を上手く引き出せる人は名治療家だと思います。

さて、寒くなると大抵の方は、透明なサラサラした鼻水が出てきます。その前にくしゃみが出る方もいるでしょう。寒気を感じる方もいますね。ウィルスに感染するとは、ウィルスが体内に侵入した状態を言います。体内に入る前なら感染は成立しません。そこで身体は、体表面にウィルスが着くと侵入させないように反応します。くしゃみで吹き飛ばしたり、鼻水で洗い流すのです。もちろん、粘膜表面の活動を活発にしなくてはなりませんから、体を震わせて(寒気を感じる時の反応)体温を上げ血流を増やして活動に必要な栄養や酸素を送るのです。

漢方では、透明なサラサラした鼻水を「肺(呼吸器)の冷え」とみる事が多くあります。このことは風邪などに限ったことではなく花粉症などのアレルギー性鼻炎でも当てはまります。肺が冷えてるわけですから、ウィルスが呼吸器の粘膜表面に着いても免疫反応が正常に働きません。ですから尚更、鼻水で洗い流そうとする反応とも考えられます。この時に、鼻水を止めようと一般的に使われる抗ヒスタミン薬を飲めば、鼻水は止まるかもしれませんが、粘膜表面の免疫反応が低下しているために粘膜からウィルスは容易に体内に侵入します。つまり感染の成立です。
(わかりやすく文章にしたつもりですが、逆に複雑になったでしょうか?)

こじらせないために、早めに飲んだ薬が逆効果になることもあるのです。それでも治るのは「いわゆる体力がある」ため。抗ヒスタミン薬(一般の風邪薬にも含まれます)で、鼻水を止めることで休息をとりやすくして体力の消耗を防ぐ働きもあるでしょうが、プラスマイナスで考えると、少なくともプラスには作用しないように感じます。薬の副作用を考えればマイナスになるかもしれませんね。

じゃあ、どうしたらいいのでしょう?体を暖かくしていたら鼻水が止まってきた経験はないでしょうか?漢方の原則を持ち出すまでもなく「冷えたら温める」だけです。一般的に使われる生姜湯は、身体、特に肺を温めると漢方では考えます。民間療法、おばあちゃんの知恵などと言われますが、非常に理にかなっているのです。肺を温める食品としては長ネギなども有名で、ネギの入ったスープも活用しましょう。

解熱剤の使用も、治癒を遅らせるとの報告から、近年は頓服として高熱でつらい時だけの使用が推奨されています。私は「解熱剤や抗ヒスタミン薬や咳止めなどがセットになった総合感冒薬は、本当に必要なのか?治ることに役立っているのか?」と考えています。風邪の相談では、もっぱら漢方薬を出すようになったのは、このような理由があるからです。

さて、サラサラの鼻水(いわゆる水っ鼻)が出てきたら、身体(特に呼吸器)が冷えてきたサインと考え、温めるためにショウガやネギを摂りましょう。マスクで冷たい冷気が直接侵入することを和らげることも大切なことですよね。薄着で過ごすなどは、もっての外です。



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