ドライアイと疲れ目

 胆石治療で入院していた時に、数値の改善が今一つ良くなかったので別の病気の存在を疑われ追加でMRIを受けました。検査前に技師さんから「大きな音がします。耐えられない時はこのボタンンを押してください。」との説明があり、実際のMRI検査に入りました。ヘッドホンをしましたが確かに大きな音で、しかもいろいろな種類の音があるのですね。後で確認したところ、磁場のかけ方で音も変化するのだとか、「なるほど」でした。ただ、検査の最中に私はあることに気づいたのです。呼吸して腹が上下すると音が変化することに。ここで遊び心が出て、呼吸(腹の上下運動)のサイクルを意識的に変化させると、私のペースで音も変わるではありませんか。わざと、腹の動きを小さくしたりすると音は変化しませんし、早く上下させると音の変化も早くなったり、あまり遊びすぎると検査が終わらないかもしれないので途中で真面目になりましたが、検査によっては楽しく受けることもできるものですね。(良い子は真似をしてはいけないのかもしれません)

 昨日は始めての山の日で、ハイキングや登山に出掛けた方も多かったのでしょう。「目に青葉、・・・」と言うように、目にとって植物の緑は癒しの効果があるようです。現代は仕事や勉強だけでなく遊びでもパソコンやスマートフォンが欠かせませんから、それだけ目にとっては負担が大きい時代なのでしょう。時々、目の保養を兼ねて植物の緑を眺めに出かけることも大切なのでしょう。

 多くの人が疲れ目を感じているという現在、その疲れ目の原因として第1位はドライアイだそうです。パソコンやスマートフォンのディスプレイ画面を見ていると瞬きの回数が減ることが知られており、ドライアイの原因の一つとして考えられています。それに加えてエアコンによる室内の乾燥もドライアイを助長します。どうやら、現代の生活は、ドライアイを進める方向に変化していると考えられますし、ますます疲れ目を訴える方も増加すると予想できます。

 そこで、従来は涙液型の目薬がドライアイの治療に使われてきました。ただ、涙は充分出ているにもかかわらずドライアイを訴える方もおり、目を潤す作用に問題があるのではなく、目が乾燥しやすいタイプとされます。目の表面は涙で潤されますが、涙が必要以上に乾き過ぎないよう油もマイボーム腺というところから分泌されています。このマイボーム腺の働きが悪かったりすると油が不足して涙が早く乾いてしまい、ドライアイ・疲れ目を感じるのです。最近は、涙液補充だけではなくマイボーム腺機能に注目した目薬もあり、ドライアイ治療に変化が見られるようになりました。

 また、涙液型点眼薬の中には、配合されている保存剤の影響で角膜(目の表面)をを傷つける場合もあり、1日に5〜6回以上の頻回に渡って目薬を使用する方は、目薬の選択やドライアイのタイプなどを考慮することが重要でしょう。
そしてマイボーム腺からの脂質の分泌を考えると、食事の影響も強く受けているはずであり、ドライアイや疲れ目で悩んでいる方は食事内容を振り返る必要があると考えます。もちろん食事の影響は目だけでなく血液中のコレステロール値や中性脂肪値にも変化があると思われますし、皮膚にも脂漏性皮膚炎やニキビなどの形でサインが現れているかも知れません。

 食事という点では、脂質の摂取だけでなくビタミン不足も考慮したいものです。一部のビタミン剤にはドライアイの改善に評価の高い医薬品があります。サプリメント・健康食品では充分な効果が出ないかもしれませんが、これは治療に使う量と健康管理に使う量の違いと考えることができます。事実、分子整合医学という分野では、かなり大量にビタミン剤を使用して成果をあげていることから、厚生労働省の定める1日必要量は健康維持に必要な最低ラインと考えるべきなのかもしれません。


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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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