不登校への支援

 膨れ上がる医療費対策として、セルフメディケーションを推進しようとの話があちこちで聞かれます。相談業務を中心とする当薬局にとって歓迎すべきことであるものの気になることもあります。厚生労働省は、住民の相談にのったり健康情報を提供したりする薬局を《健康情報拠点薬局(仮称)》として認定し公表する方向らしいのです。私にすれば「なんかピントがずれているんだよね。もともと薬局は相談を担ってきたわけだし、どこで相談するかは住民が判断して使い分けしているし・・・。」と、今更な感じもするわけです。ただ、相談を受けるからにはきちんと対応することが重要で、医師に紹介するにしても適切に専門医につなぎたいものですし、薬局の医薬品で対応するのなら責任を持って説明・アドバイスをすることが求められると思っています。(でも、なんだかんだと言っても、いろんな規制でガンジガラメでやりにくいんだよね・・・独り言です)

 さて、相談を生業としていると、次第に内容は多岐にわたってきます。特に漢方薬の相談ができると、医療の範囲なのかわからないことまで相談を受けることがあり、その代表的な分野に心理系の相談があります。私も20年近く前に「うつ病」の相談を受けたことが心理への入り口となりました。ビギナーズラックだったのかもしれませんが、幸い漢方薬で順調に推移し無事に終了することが出来ました。その後は時代の要求も有り、メンタル系の相談が徐々に増えて勉強の必要性を感じ、日本心療内科学会に入会し心療内科のテクニックを吸収して来ました。

 純粋な心療内科系の相談は、困った症状に共感(理想は共鳴となるのであろう)しつつ、薬(私の場合は漢方薬)を使って症状の改善を図るものです。その時に、心理的ストレスと症状との関連を教育し気づきを促し人格的な成長を促すことが目標とされます。ここまでは薬局でも使える薬が異なるだけで、きちんと勉強すればある程度のレベルに到達できると思います。
 例えば不登校なら、子供が朝になると頭や腹が痛いと言っているようなものですね。身体のパーツとしての臓器に病的な異常があれば、その治療が優先されますが、無い場合は「気のせい」「ズル休み」「怠けてる」・・・などと、するのではなく痛みを感じている苦痛を理解し、漢方薬を使いながら話を聞いてゆくことで改善することを多く経験しています。

 このようなことを実施しながら、日本自律訓練学会や各種心理系学会や研修会・ワークショップに参加して自分のスキルを高めてきたのですが、これも漢方薬の効果を高める補助手段としての意味が強くありました。すると、それなりに相談件数は増えてくるものです。いつ頃からか、漢方薬を使うことが不自然なケースの相談も受けるようになりました。一方で、漢方薬を使って治すのではなく、自然と治ったような経過をとる方が自信も高まり再発しにくいのではないかとも考えるようになってきたのです。ですから、今は漢方薬を使わないケースもあります。

 その上で本題です。今年に入り、家族療法・システムズアプローチを研究しています。不登校を問題として本人にカウンセリングや心理療法なり漢方薬を使うことも可能ですが、家族関係や友人関係が原因で結果として不登校になっているとの考え方もあるのです。どちらが正解と言うことではなく、いろいろな方法があることを理解してほしいと思います。後者の視方をすれば、不登校の本人がいなくても何らかの介入は可能であり結果も出せるのです。

 今までの私は恥ずかしながら、「本人が来ないから・・・」「本人が飲めるかどうか・・・」などと、困って相談に来局される方に失礼なことを言ってきました。家族療法・システムズアプローチの知識があれば、違った対応が取れたはずだと反省しています。医療機関なら、身体表現性障害や適応障害などとして抗うつ薬などが使用されることでしょう。でも、果たしてそこまで必要なのか疑問もありますし、このように考える保護者も少なくないように感じています。

 自然な経過で改善を図り、保護者も含めて人格的な成長が果たせれば、自己肯定感も自己効力感も高まり、オールハッピーの”幸せづくり”となるかなと密かに考えています。私が漢方薬をやっていなかったら、心理の勉強をしていなかったら、不登校の相談を受けても「児童精神科に行ってください」「児童相談所に行ってください」「保健所に・・・」となっていたでしょう。今は自信を持って相談にのることが出来ますし、それなりの結果を示すことも可能となりました。

 セルフメディケーション推進は必要と考えますが、住民に「せっかく勇気を出して相談拠点薬局(仮称)に行ったのに、たらい回しされた」とならないようにしたいものですね。相談を受ける薬剤師がすべて抱え込むことは無理でしょうけど、専門家に紹介するなら確実に対応してもらえる機関を紹介しないと「何にも役に立たない」となりそうで、ちょっと心配しています。



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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局
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