慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)の治癒へ向けて

1日単位で見れば寒暖の差が大きいものの、確実に涼しくなってきています。私らは年中感染症と戦っているわけですが、寒さは身体に備わった抵抗力を強力に奪うのでしょうね。秋〜冬にかけては、いつも以上に感染症対策が必要となります。折しも、当地長岡では、小児におたふくかぜが大流行しています。ある学校では1クラスで10人も休んでいると聞きました。お子さんから保護者への感染もありますし、夏バテ・秋バテや季節の変わり目など体調を崩しやすい頃ですので油断しないよう気を付けたいものです。

子供は感染症を繰り返しながら成長するという側面があり、重症化しなければ大きな心配はいらないと考える方です。しかし、その判断は医療者でも難しいのが現実で、重症化するリスクを少しでも減らそうと努力するのです。抗生物質・抗菌剤の発展によって、多くの感染症は助かる病気になりました。抵抗力や回復力の程度に差があっても誰でも同じように治ることができるようになってきたのです。ただ、その戦いに陰りが見え始めています。耐性菌の出現により、抗生物質・抗菌薬が万能ではなくなってきているのです。近年、新たな抗生物質・抗菌薬の開発はほとんどありません。極端な話このままでは、ペニシリン発見前の時代に戻りかねない状況が来るかもしれないのです。

耐性菌を増やさないようにするには、やはり慢性化を防ぐのが重要です。感染症の現場での耐性菌対策は、病因菌にしっかりと効く抗生物質・抗菌薬を充分な量使い短期間で病因菌を叩くことが重要とされ、ウィルスなど抗生物質・抗菌薬が無効な感染症にはむやみに使用しないとされます。この判断は、医療の専門家に任せるとして、私たちには何ができるか考えてみましょう。抗生物質・抗菌薬に対する一般住民の印象は、強い薬・副作用が心配な薬と受け止めているように私は感じます。その結果、受診して抗生物質・抗菌薬を処方してもらっても、ある程度症状が改善に向かった時点で抗生物質・抗菌薬の服用を自己判断で止めてしまうケースが、ままあります。このような使い方も、耐性菌を増やす結果につながっていることを肝に銘じましょう。

そもそも感染症が治るとは、どういうことでしょうか?ウィルスや細菌により、私たちの身体が傷つけられた時、私らの体内では免疫細胞が一生懸命に働いています。その結果、発熱や咽頭炎や鼻炎・副鼻腔炎などの症状が出て、だるさなどの症状を伴うために身体を休めることで、エネルギーを感染症との戦いに重点的に注ぐことができます。必要以上に発熱を抑えたり、休まないで普段と同じ活動をしたりすることは、身体が治ろうと努力するエネルギーを無駄に捨てているようなものです。ペニシリンが登場する以前、私たちはこのエネルギーを上手く利用することで感染症を克服してきました。

このエネルギーが体力であり抵抗力であり回復力です。体力が少ない方は、病気(感染症)にかかりやすく、重症化しやすく、治りにくかったのです。ですから、栄養のある食品をとって体を動かし、体力をつけてきたわけですね。すなわち抗生物質が登場する前は、身体作りは命がけで行ってきたといっても過言ではないと思うのです。
また東洋医学の考えも、私たちの身体の体力・抵抗力をいかにして高めるかという視点に立っています。もちろん抗菌作用も一部認められているのですが、現代医学と異なりメインではなく、あくまでも体力・抵抗力をいかに高めるかが中心なのです。

こどもの感染症の診方(臨床医薬研究協会)によると、小児の慢性副鼻腔炎の大半は急性副鼻腔炎を繰り返していることが多いとあります。そして、慢性副鼻腔炎に使用されることが多いマクロライド系抗生物質クラリスなど)に対して、副鼻腔炎の原因菌の一つである肺炎球菌は6〜7割が耐性菌だと報告されています。場合によっては、効かない抗生物質を飲んでいるのかもしれません。
ここら辺で視点を変えて、身体作りを考えてみてはいかがでしょうか。

栄養は?生活リズムは?睡眠や休養は?姿勢は?服装は?……など。
私が提案するのは漢方薬だけではありません。栄養剤やビタミンサプリメントなどで元気になっている子供も大人もいます。睡眠や服装の重要性にも触れたりします。健康作りって、地道かも知れませんが、とても重要なものだと思いませんか?




漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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