腎臓リハビリという考え方

 最近、断食やファスティングという言葉を聞く機会が増えているように感じます。また糖質制限もダイエット人気が加わり、あちこちで盛んにおこなわれているようです。それぞれ大流行ではないものの、根強いブームが続いているものと思いますが、あまり極端なことをすると逆に身体に負担となり却って健康を害すことになりかねないので程々に行うことが良いと思っています。以前「ウンチを育てる」で書いたこととも重なりますが、断食にせよ糖質制限にせよ腸内環境および腸内細菌叢が大きく変動するので、場合により体調悪化という事態もあるわけですから、リスクも充分知っている専門家のアドバイスを受けながら安全に行って欲しいと願います。

 医学・生物学の進歩やビッグデータの解析により、今までとは考え方が正反対になる場合があります。例えば、今でこそ当たり前の「外傷に対するウェット療法」は、「傷は乾かすべき」という考え方から「傷は乾かさない」方がきれいに早く治ることがわかり普及してきました。一般的には「ラップ療法」と言った方がわかりやすいかも知れません。

 そこで今回は、適度な運動などで腎機能を良好に保つ「腎臓リハビリテーション」を紹介したいと思います。腎臓は非常に細い血管が集まってできています。血液中の老廃物を網目のような構造で濾し出すためで、腎臓の血圧は老廃物を効率よく濾すためには低すぎず、デリケートな網目を壊さないためには高すぎないよう一定に保たれているのです。ただ、加齢や糖尿病・高血圧などの生活習慣病、その他の病気が原因となり、腎機能が一定以下に低下すると透析を行わなければならなくなります。

 このため透析への移行を少しでも遅らせるために、高血圧や糖尿病など基礎疾患の治療を行い、厳しい食餌制限が加えられるのです。そして激しい運動も腎臓にかかる負担が大きいために当然制限がされてきました。ただ、激しい運動なら負担がかかるのは理解できますが、軽い運動も含めてすべてダメなわけではないわけです。生活習慣病・慢性病と言われる多くの疾患で、運動習慣のある人の方が良好な状態を長く維持できることがわかっており、腎臓病も例外ではありません。適度な運動により血流が改善し、酸素および栄養の供給や新陳代謝の促進などにより疾患の進行が緩やかになるものと考えられます。

 今までは確かに腎臓病患者さんは、運動するとタンパク尿が出やすくなるために重症の患者さんほど活動が制限されていました。ところが、この2〜3年の研究で、運動を行うことにより逆に腎機能が改善するデータが示され、徐々に運動に対する見方・考え方が変わってきているのです。そして、運動だけでなく栄養や心理など多領域の介入も含め「腎臓リハビリテーション」という分野が出来てきました。

 例えば、運動習慣のある腎臓病患者さんのグループは運動習慣の無い腎臓病患者さんのグループに比べ、死亡率が明らかに低くなることがわかっています。当然ながら、血液透析が必要になるまでの期間も延び、健康度や自立度の高い生活を長く送ることができているのです。このことは検査結果にも反映され、腎臓病の重症度の目安とされる推算糸球体ろ過量(eGFR)が改善することからも納得できる結果と言えます。

 ただ、一時的にせよ運動によりタンパク尿が出てくることも事実ですから、どの程度の運動が適度なのかは専門医と相談することが必要です。その部分にさえ注意すれば、長期的には心肺機能が高まり心臓疾患や血管系疾患の発症を予防することになり、死亡率の低下につながって来るのです。
 また、現在透析中の患者さんでも運動の効果は同様です。さらに、透析の効率が改善することで、運動をしている患者さんのグループは透析時間を1時間延長するのと同じくらいの老廃物除去が認められるとの結果も出ています。

 腎臓は毛細血管の集合体ですから、運動などで血流の改善することが重要な意味を持つわけです。東洋医学的には、「腎」の働きは寒さ・冷えにより低下すると考えます。ですから、温める漢方薬を使うことが多いわけですし、実際に温める漢方薬で腎機能が改善することを多く経験します。これからの季節、エアコンや冷飲食の多量摂取には注意が必要と言えます。ただ、暑さを我慢しすぎて熱中症や脱水状態になれば腎臓の血流も低下しますから、何事も程々にすることが肝要です。



漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
http://hirohashi-pharma.sakura.ne.jp/ (アドレスを変更しました)

過去のブログの主なものはホームページにリンクを貼ってありますから、見たい記事がありましたら《ひろはし薬局のホームページ→過去のブロ
グ》から探してみてください。(現在の更新はしてませんが・・・)
  あるいは⇒http://www3.ocn.ne.jp/~hirohasi/sub6.htm

メールは《Re:タイトル》でお願いします。メールマガジンの申込も随時受付中
     ⇒8hirohashi@gmail.com

薬事法の関係で、具体的な薬品名は表示を控えています。お知りになりたい場合は、直接ご連絡ください。

講演の依頼に関しては、ホームページに掲載してある講演内容を参考にして、お申込下さい

訪問による出張相談にも応じています。
引きこもり・うつ病などのメンタル相談、外見の気になる皮膚病相談、病中・病後など体力低下による外出困難な場合、など

 最近、断食やファスティングという言葉を聞く機会が増えているように感じます。また糖質制限もダイエット人気が加わり、あちこちで盛んにおこなわれているようです。それぞれ大流行ではないものの、根強いブームが続いているものと思いますが、あまり極端なことをすると逆に身体に負担となり却って健康を害すことになりかねないので程々に行うことが良いと思っています。以前「ウンチを育てる」で書いたこととも重なりますが、断食にせよ糖質制限にせよ腸内環境および腸内細菌叢が大きく変動するので、場合により体調悪化という事態もあるわけですから、リスクも充分知っている専門家のアドバイスを受けながら安全に行って欲しいと願います。

 医学・生物学の進歩やビッグデータの解析により、今までとは考え方が正反対になる場合があります。例えば、今でこそ当たり前の「外傷に対するウェット療法」は、「傷は乾かすべき」という考え方から「傷は乾かさない」方がきれいに早く治ることがわかり普及してきました。一般的には「ラップ療法」と言った方がわかりやすいかも知れません。

 そこで今回は、適度な運動などで腎機能を良好に保つ「腎臓リハビリテーション」を紹介したいと思います。腎臓は非常に細い血管が集まってできています。血液中の老廃物を網目のような構造で濾し出すためで、腎臓の血圧は老廃物を効率よく濾すためには低すぎず、デリケートな網目を壊さないためには高すぎないよう一定に保たれているのです。ただ、加齢や糖尿病・高血圧などの生活習慣病、その他の病気が原因となり、腎機能が一定以下に低下すると透析を行わなければならなくなります。

 このため透析への移行を少しでも遅らせるために、高血圧や糖尿病など基礎疾患の治療を行い、厳しい食餌制限が加えられるのです。そして激しい運動も腎臓にかかる負担が大きいために当然制限がされてきました。ただ、激しい運動なら負担がかかるのは理解できますが、軽い運動も含めてすべてダメなわけではないわけです。生活習慣病・慢性病と言われる多くの疾患で、運動習慣のある人の方が良好な状態を長く維持できることがわかっており、腎臓病も例外ではありません。適度な運動により血流が改善し、酸素および栄養の供給や新陳代謝の促進などにより疾患の進行が緩やかになるものと考えられます。

 今までは確かに腎臓病患者さんは、運動するとタンパク尿が出やすくなるために重症の患者さんほど活動が制限されていました。ところが、この2〜3年の研究で、運動を行うことにより逆に腎機能が改善するデータが示され、徐々に運動に対する見方・考え方が変わってきているのです。そして、運動だけでなく栄養や心理など多領域の介入も含め「腎臓リハビリテーション」という分野が出来てきました。

 例えば、運動習慣のある腎臓病患者さんのグループは運動習慣の無い腎臓病患者さんのグループに比べ、死亡率が明らかに低くなることがわかっています。当然ながら、血液透析が必要になるまでの期間も延び、健康度や自立度の高い生活を長く送ることができているのです。このことは検査結果にも反映され、腎臓病の重症度の目安とされる推算糸球体ろ過量(eGFR)が改善することからも納得できる結果と言えます。

 ただ、一時的にせよ運動によりタンパク尿が出てくることも事実ですから、どの程度の運動が適度なのかは専門医と相談することが必要です。その部分にさえ注意すれば、長期的には心肺機能が高まり心臓疾患や血管系疾患の発症を予防することになり、死亡率の低下につながって来るのです。
 また、現在透析中の患者さんでも運動の効果は同様です。さらに、透析の効率が改善することで、運動をしている患者さんのグループは透析時間を1時間延長するのと同じくらいの老廃物除去が認められるとの結果も出ています。

 腎臓は毛細血管の集合体ですから、運動などで血流の改善することが重要な意味を持つわけです。東洋医学的には、「腎」の働きは寒さ・冷えにより低下すると考えます。ですから、温める漢方薬を使うことが多いわけですし、実際に温める漢方薬で腎機能が改善することを多く経験します。これからの季節、エアコンや冷飲食の多量摂取には注意が必要と言えます。ただ、暑さを我慢しすぎて熱中症や脱水状態になれば腎臓の血流も低下しますから、何事も程々にすることが肝要です。



漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
http://hirohashi-pharma.sakura.ne.jp/ (アドレスを変更しました)

過去のブログの主なものはホームページにリンクを貼ってありますから、見たい記事がありましたら《ひろはし薬局のホームページ→過去のブロ
グ》から探してみてください。(現在の更新はしてませんが・・・)
  あるいは⇒http://www3.ocn.ne.jp/~hirohasi/sub6.htm

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訪問による出張相談にも応じています。
引きこもり・うつ病などのメンタル相談、外見の気になる皮膚病相談、病中・病後など体力低下による外出困難な場合、など