ストレスにより胃腸の調子を崩すことは広く知られています。
だから、胃腸の調子を取り戻すにはストレスを減らしましょう
と、言われるわけです。
ただ多くの方は、「それができたら苦労しないよ」と思って
いるわけで、医療者の「減らしましょう」は、とりあえず指導
したという実績になっているだけですよね。
私は以前から違和感があって、役に立たないアドバイスなら
無いと一緒かと考えています。そして、ストレスは減らなくても
ストレスの影響を減らすような具体策を提案するようにして
います。
それはさておき、《ストレス⇒腸内細菌叢の変化⇒消化管の
過敏性》という関連性が注目されています。
胃腸の調子が崩れたら、「ストレスを減らす」のではなく、
腸内細菌叢を改善して「ストレスの影響を減らす」という方法
です。 (大島忠之.第18回日本消化管学会総会)
大島らは、ストレス反応を緩和するような漢方薬の使用が、
腸内細菌叢を変化させ、消化管の過敏性を示す十二指腸の微小
炎症が減少したことを報告しています。
腸内細菌叢の改善が安定するまでには、数週間程度の期間が
必要とされますので、漢方薬の効果が現れるまで数週間くらい
かかるのも納得できます。
ストレスが関係する胃腸の不調に対し、漢方薬は効果的な
選択肢の一つです。腸内細菌叢の変化が関与することから、
整腸薬などのプロバイオティクスも選択肢に挙げられます。
ただ、腸内細菌叢の変化は胃腸の不調につながる一つの
ルートに過ぎませんから、より根本的には認知行動療法など
の心理療法も活用して、ストレス関連疾患とされる心身症を
改善したり予防することが重要かと考えます。
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薬剤師・公認心理師(心理カウンセラー) 廣橋 義和
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